作品 | ナノ





「……いや、ええよ。僕が深入りさせるような身なりしてるんやからな」

呟いたナトくんの手から重力に従い雫が落ちる。じわり、新しい赤がまた一つ染み込んだナトくんの見てくれは、白と赤のコントラストが効いていて……効きすぎていて、また少し吐き気がした。
生臭い。死体なんて見るの始めてだ。あの人誰なんだろう、何したんだろう、そんなことも勿論頭を駆け巡った。でもそれ以上に、

(……この人、大丈夫なんだろうか)





「この人」とは死体ではなくナトくんの事で、「大丈夫か」とは頭の調子ではなくこれから先の未来の事だ。まあ心配してもナトくんの根性叩き直すだとか説得するだなんてことするつもりは毛頭無い、けれど。

「あんた、は、これからも……こういう事を続けるの」

「さァ?どないしようかな?」

「……例えば、明日は私、とか、」


いつまでも進展を見せない会話に苛立ちを覚えながら言葉を紡いで、返って来たのは「カナデちゃんが考えてはるのは、いっつも保身の事だけやね?」なんて台詞。ニコニコ笑うナトくんの笑顔に胃を鷲掴みにされている感覚に陥った。さっきはそういう意味を含んで言いはしなかったが、間接的には図星であり否定出来ない。気分が悪いなんてもんじゃない。ナトくんはいつもこうして核心を突いてはヒヤヒヤさせてきて、その深い深い青の瞳を覗いていたら全てを見透かされているようで足がすくんだ。頭の中を警笛が鳴り響く。早く逃げろ、これ以上踏み荒らされる前に。

「……ここ、臭いきついから……私もう帰るね」

踵を返せば答えになってへんで、という声が鼓膜を撫でつけた。構うな。走れ、走れ。私にはナトくんと渡り合う勇気も力量もないんだ。ナトくんが本意であんなことをしている訳ではないのかもという根拠のない仮説は実証出来なかったけれど、そもそも私には無理な話だと決めつけよう。

誰かが彼を解き放ってくれるように。救ってくれるように。背中で感じる視線を振り払い、名も知らぬ「誰か」に念じた。



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やっちまった!遅くなってごめん、泡に書いて貰って嬉しくて、絶対ナトくんとカナデ書こうと思って、でも溢れる妄想まとまんなくて、なら貰ったお話の続きを書いちゃおうと^p^本当いみわからないごめん……泡、ナトくんお借りしました!有難う!







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