なつみが沖田を追いかけて屯所にやって来たと言うことはたちまち屯所内に広がった。からかってくる隊士達に沖田のイライラは溜まる。バズーカをぶっ放してもスカッとしない。


そんなこんなで日が暮れ夕食の時間になった。


「お近づきの印としてあたしが晩ご飯を作りました!遠慮せず、たーんと食べてください!」
『……………』


机に並ぶソレに隊士達は絶句した。赤青緑紫と色とりどりなソレはもしかし食べ物なのだろうか?


「なつみちゃん料理上手ね」
「え?そうですか?」
「うん。私が作ったら全部真っ黒になっちゃうの。こんなにカラフルなんて凄いもの。今度教えてもらえる?」
「喜んで!」


女中二人の華やかだが怖い会話が聞こえる。どうするんだよ、コレ…。食堂にそんな雰囲気が流れだした。


「こ、ここは沖田隊長がどうぞ!」


一人の隊士の意見に沖田は露骨に顔をしかめる。


「なんででィ」
「そりゃ、その方が香坂さんも嬉しいだろうし…」


そうだよな、とあちらこちらから同意をはじめる隊士に沖田はムッとした。あっちが好いているからなんだというのだ。


「山崎、お前が食え」
「何で俺が、がふっ!?」


沖田は山崎の口の中に無理矢理その食べ物だかなんだか分からない物体をつっこむ。出そうとしても口を押さえられているため飲み込むしか他ない。…ごくん。


「…あ、おいしい」
『マジでッ!!?』


様子を窺っていた隊士達は驚きの声を一斉にあげる。本当、本当と言ってぱくぱく食べる山崎の姿を見て何人かが恐る恐る食べた。


「あ、うまい」
「本当だ!」


隊士達の箸が進む。なつみはその姿を嬉しそうに見る。


半信半疑で一口食べてみた沖田も驚く。見た目の割に味は普通だ。むしろおいしい。


「沖田さん、どうですか?」


にこにこしながらなつみが沖田の横に座る。その笑顔が気に食わなくて沖田はしかめっつらを作りそっぽを向く。


「…まずいでさァ」
「そんなはずありませんよ!だっておいしい物しか入れていませんもん。いちごでしょ?サバにかぼちゃに栗に生クリームに…」
「…食欲が失せやした」


何がどうなったらソレらを混ぜ合わせたらこんな味になるんだ。味覚の神秘だ。
なつみは頬をふくらます。


「え〜、食べて下さいよ。せっかく作ったのに」
「なら自分で食べなせェ」


そう言って沖田はなつみの口に料理をつっこむ。ぱちぱち。まばたきを数回し、口の中の物を咀嚼してから徐々になつみの顔が赤くなる。


「…えへへっ。沖田さんに食べさせてもらっちゃった」


幸せそうなその笑顔に沖田は心底嫌そうに顔をしかめる。


「沖田さん、大好きです!」
「…勝手に言ってなせェ」


沖田はため息をついて料理を一口食べる。なつみは沖田の冷たいそぶりを気にせずにこにこ笑いながら座りその場から離れない。


「真選組賑やかで楽しい場所ですね」
「まあ、騒がしいのは確かでィ」


すました声になつみは楽しそうに笑う。


「沖田さんはここが大好きなんですね」
「…なんでそうなるんでさァ」


訝しいげに眉を寄せる沖田。だが否定はしない。だからなつみは幸せそうに笑った。


「あたしも沖田さんが好きなこの場所が好きになれそうです」








伝われ、想い



「うおぉぉお!」
「局長!?なんで脱いでるんですか!」
「誰だ局長にこんなに酒飲ましたのは!?」
「あ、俺です」
「山崎ぃぃぃい!!!」
「ちが、俺は沖田隊長に頼まれ、ぎゃぁぁああ!!」
「あんた、この集団を好きになれるんですかィ?」
「はい!あたし賑やかなの大好きです!ゴリラさんの裸踊りすごいですねー」
「………ちっ」



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