女って存在はどこの世界でも恋ばなが好きだ。でも、私にはまったくもって分からない!







「えっ!?あの三人って兄弟なんですかっ!?」


城のテラスでメイド仲間さん達とお茶をしながら話しをしていると、灰色の髪と茶髪と金髪が兄弟という驚きの事実を知った。


「…全っ然似てませんねぇ」


私の反応にメイドさん達はくすくすと笑う。


「兄弟って言っても全員お父様は違うのよ」
「…へぇ〜」


つまり三人の男との間に子供を作ったんだ。…私には意味が分からない。


「三人のお母様は前魔王陛下なの」
「え、それじゃああの三人って魔王の息子なんですか?」


つまり、すっごく身分の高い奴らだったんだ…。


「その前魔王様は今何をしてらっしゃるんですか?」


城内でそのような人と会ったことはない。何気なく聞くとアッサリ返事が返ってきた。


「今は恋愛旅行に出かけていられるわ」


…聞かなきゃよかった。その前魔王様とは出来れば関わりたくない。絶対気が合わない。
私が元の世界に戻るまで帰って来ないことを望みます。


「お三人共、本当素敵よねぇ」


…ああ。やっぱりこう言う話しの展開になるのね。私は内心でげっそりした。ここから誰がいいかって話しになるんだ。私にはまったくもって分からない話し。


「フォンヴォルテール卿は威厳があって素敵よね!」


単に渋い顔をしているだけでしょうが。眉間にしわもあるし。


「あら、ウェラー卿は優しくて爽やかで素敵じゃない?」


あれはただのタラシだ。あの爽やか笑顔で何人もの女の人を落としているに違いない。


「フォンビーレフェルト卿は本当愛らしいわ」


ただの我儘王子じゃないか。ベットを投げ付けた日から会うたびにキャンキャン喚いてうるさいったらありゃしない。


「お三人だけじゃなくてフォンクライスト卿だって素敵じゃない!」


ああ、あの陛下陛下うるさい人ね。ウザイ人の代表的な感じの。


「猊下はあの知的な顔が素敵よ」


腹黒眼鏡は論外。


名前があがらない陛下が少し可哀相。


私があまり眠れていないことを知った陛下は裏でいろいろとやってくれたらしい。このお茶会だってそうだ。私の気が紛れるようにと陛下がメイドさん達に頼んでくれたのだ。
まだこの世界には慣れない。でも、意味不明な世界で私を気にかけてくれる人がいる。そのことがひどく安心できた。


紅茶を飲みながら物思いにふけていた私は次の発言に思いっきり吹き出した。


「誰が陛下とくっつくのかしら?」
「ぶっ!?」


今なんて言った!?
今なんて言った!?


メイドさん達は熱く語りだす。


「やっぱりウェラー卿でしょう!いつでも陛下のお傍にいるし!」
「あら?それだったらフォンクライスト卿だって」
「あたしはフォンヴォルテール卿とがいいわ。可愛い物好きのフォンヴォルテール卿と陛下はお似合いよっ!」
「猊下は陛下のご学友なのよ?猊下に決まっているじゃない!」


何?何なの?この会話は何っ!?
陛下と誰がいったい何!?この世界じゃ男同士も普通とかそんな訳じゃないよねっ!?


しかし、私の期待は次の言葉で一瞬にして砕かれた。


「何言ってるのっ!陛下はフォンビーレフェルト卿の婚約者じゃないっ!」


………はい?


「まぁ…そうだけど」
「でしょ?いつも一緒に寝てらっしゃるし」


婚約者、添い寝、男同士で…


「ルナ。ルナはどう思う?……ルナ?」


私は脳内が固まっていて、話しかけられても体を揺すられても返事が出来なかった。


脳内に陛下とそれに群がる男達が浮かび上がる。


「いぃやぁぁぁあ!!」







知りたくない事実



男なんて…!
男なんて…!!





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