「乃木ルナって本当にうざいよな。何が私は男が嫌いです、だ」
「アイツ小学生の時からずっと言ってるゼ。俺のダチが小学生の時アイツに告ってこっぴどくふられた」
「うわぁ、マジうざい」
「…なぁ、ちょっとゲームしねェ?」
「ゲーム?」
「乃木ルナをおとした奴が勝ちってゲーム」
「へぇ、面白そうじゃん。のった!」
「俺も!」
「勝った奴は賞金1000円!」
「金かけるのかよっ!?」
「そっちの方が燃えるくね?」
「確かにっ!」


放課後、忘れ物を取りに来た私は男子の会話を偶然聞いた。
頭の中に響く笑い声。泣きたいとは思わなかった。怒ろうとも思わなかった。


ただ、心が、冷めていった。
これが男と言う生き物なんだ。改めて関わらないで生きていこうと思った。


私は男なんて嫌い。大嫌い。
好きになんか、絶対にならない。









人間には学習能力がある。でも、私にはないのかなって最近思ったりする。


「迷った…」


毎日毎日飽きずに迷子になるよね、私…。
いや、でも私悪くないよね?この城が広すぎるだけだよね?
…そんなこと思っても迷子には代わりない。


とりあえず歩こう。ウロウロしてたら知っている廊下に出るかもしれないし。


ぼーっと歩いていると無意識に言葉が零れた。


「陛下、どうしてるかなぁ…」


……………。


いやいやいやいやいやっ!!
私、何言ってんのっ!?
確かに陛下は外交に出かけてて、二日も会っていないけど、だからって何!?


いや、ほら、あれだよ、うん。「陛下〜!」って叫びまくっているフォンクライスト卿に影響されただけだよ!
城で働く者として主人の心配をしただけだ!深い意味はないっ!
それに陛下について行って猊下もウェラー卿もフォンビーレフェルト卿もいなくて男率が少なくてラッキーじゃん!
喜べ私っ!


「…アレ?」


結構長い間胸内で葛藤していたらしく、気付けば全く知らない所に来てしまていた。


ええっと…
どうしよう?


呆然と立ち尽くしていると、背後から足音がした。


助かった…!
しかも音はヒールの靴の音。女の人だ。


「あら?見ない顔ですね。こんな所で何をしているのですか?」


赤いポニーテールを揺らしてその人は私に言った。








私は今まで誰にも男嫌いを同意してもらえなかった。
おかしいだの枯れてるだの、特に中学生時代の親友二人にはぼろくそ言われた。


私ぱずっと捜していた。私に同意してくれる人を…


「男と言うものは本当にどうしようもない生き物です。何も出来ないくせに妙な意地をはる。見苦しいことこの上ない」
「そうですよねっ!何も出来ないくせに女を見下しているのが許せませんっ」
「全くです」


城の中庭にあるカフェにあるようなテーブルで、私は赤髪の女性とお茶をしている。
迷子になった私を助けてくれたフォンカーベルニコラフ卿アニシナさんはなんと、私と同意見を持っている人だった。


神様ありがとう!初めてこの世界に来てよかったと思いました!


「私、すっごく嬉しいです。話しが通じる人とやっと会えて」
「まぁ。今までアナタの周りにはいなかったのですか?」
「はい。むしろその逆ばかりでした。いい代表が腹黒メガネ好きとタラシ好きのミーハーですね」


私の中学生時代の親友達はとりあえずキャーキャーしていた。
私は本当に理解出来なかった。


「だからアナタみたいな人と出会えて本当に嬉しいんです!…あの、よかったらまたこんなふうにお茶をご一緒してもよろしいですか?」
「もちろん。わたくしもアナタみたいな子と出会え嬉しいです」


私はパァと顔を輝かせる。


「ありがとうございます、アニシナさん!」
「お礼を言われることではありません。楽しみにしていますよ、ルナ」
「はいっ!」








運命の出会い



私達二人の様子をフォンヴォルテール卿とフォンクライスト卿が青ざめた顔で見ていたなんて、私は知るよしもなかった。





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