「1番!近藤勲!脱ぎまぁぁあす!!!」
「っ、やめろ近藤さん!ちょ、脱ぐな!!」
「離せトシ!俺は俺は…!おおおぉぉお!!!」
「何雄叫びあげてんだ!!?」
「近藤さん、ついに人間の言葉を忘れちまったんですかィ?」
「総悟!お前も近藤さんをとめるの手伝え!」
「わかりやした」
「…おい、テメー何バズーカ構えてんだよ、ちょっと待て、おいぃぃい!!!」
「死ねぇぇえ土方ぁぁぁあ!!!」









そんなやり取りを離れた場所で私は顔を引きつらせながら見ていた。


「…何、あのチンピラ集団。やばくない?」
「警察呼んだ方がよくない?」


友人達の会話に慌てる。
彼らが警察です、だなんて言ったらこれ絶対頭心配されるよね!?


「いや、ああいうのには関わらないのが一番だよ!ほらっ、みんな食べよう!」


ほらほら、と言うと「あんたは花より団子だねぇ」と笑われた。ひっかかるとこはあったけどとりあえずあっちから気をそらすことは出来たので安心する。


私は女友達六人で花見に来ている。みんなで花見弁当を広げ、わいわいと盛り上がっている時にあの集団がやって来たのだ。


本当、たまたま偶然だ。決して狙ったわけではない。
確かに同じ日に花見をすることは知っていたけど、というか誘われたんだけど、ここらへんに花見の名所は結構あるしまさか同じ場所とか思わなかったしそもそも知っていたら場所を変更していた!


「そう言えばさ、アンタ真選組で働いていたよね?」


ギクッ。


「う、うん……」


ひきつる顔に必死に笑顔を張り付ける。あそこにいるバカ集団が真選組ですだなんて言えない。あんな変態どもが上司だなんて知られたくない…!
私はすぐにでも話題を変えたかったが他の友人達も「そういえば」と言って話題にのってくる。


「どんな感じ?やっぱ大変?」
「うん、まあね…」


ストーカーをしていた相手に殴られボロボロになった局長の手当てをしたり、大量のマヨネーズを買いに走らせられたり、ドS星から来た王子に嫌がらせをされたり…。うん、本当大変。


「警察の屯所の手伝いだもんねぇ。なんか危ないことに巻き込まれたりしてない?」
「…この前副長の暗殺計画に巻き込まれた」


本当ふざけんなよあのドS。


「ちょ、大丈夫なのっ!?」
「ケガしなかった!?」
「平気平気〜。…慣れてしまった自分が悲しいぐらい」


ハッと自重気味に笑うと友人達は凄く心配そうに私を見てくる。


「ねぇ、悪いことは言わない。その仕事辞めな」
「そうだよ!そんな危ない仕事続ける必要ない!」
「いや、でもあそこ給料いいし。それに…」


騒がしいけど楽しい日常を頭に思い描き私は知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。


「大変なことも多いけど、結構楽しいよ?みんないい人…」


「うわぁぁあ!!何やってんだ近藤さん!?」
「止めるな!止めてくれるなトシッ!」
「脱ぐな!ふんどしは脱ぐな!って、なんで他のやつらも触発されて脱いでやかんだ!山崎テメェぶっ殺すぞ!!」
「ちが、これは沖田隊長が、ぐふっ!!」


「…なの?」
「いや、あたしらに聞かれても……」


私、やっぱり職場変えようかな…。


あんなチンピラ達と知り合いだとバレたくない。お願いだから私に気付かないで。


「…ねぇ、こっち見てる人いるんだけど……」


………。
…まさか……。


恐る恐るチンピラ集団の方を見ると、蜂蜜色の髪をした少年と目があった。ええ、そりゃもうバッチリと。


気付くなよ沖田隊長のバカァァァアアア!!!


しかもあろうことか、私を指差しながら他のみんなと話している。私の存在を教えているらしい。余計なことを…!


「ね、ねぇ…もしかして、知り合いなの……?」


そう聞いてきた友人の顔は引きつっていた。他の友人達も同様。


「あっあはは、嫌だなぁ、そんな訳ないじゃん、あはははっ」
「でも、みんなおもいっきりアンタを見てるよ?」
「誰かと勘違いしてるんだよきっと!」


その時だった。


「名前ちゃぁぁぁあああんっっ!!!」
『ひいぃぃいっ!!』


真っ裸のゴリラ、もとい局長が私の名前を叫びながらこっちに向かって走って来る!


脱兎のごとく逃げ出す私達。
というか私。


しかし、呆気なく捕まり真選組の花見に付き合わされることとなった。










ある晴れた春の日の注意報



今日は絶好の花見日和!でもみなさん、春に変態はつきもの。警察を呼んだとしてもその警察が変態じゃないとは限りません。自分の身は自分で守るようにしましょう。




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