「好きっ、付き合って!」
「あァ?何ふざけてんでさァ。冗談は顔だけにしとけ」
あたしは言われた意味を理解するのに時間がかかった。いや、だってあたし告白したんだよ?その返事がこれって…おい。
何事もなかったのように去って行くその背中を見てあたしはキレた。
「ふざけてんのはそっちだクソ沖田ぁぁあ!!!」
「あんなサドヤローを好きになるなんて名前は見る目がないアル。自業自得ネ」
「そうねぇ。まぁ、仕方ないわよ。諦めなさい」
次の日になってもあたしの怒りはおさまらず、神楽とお妙ちゃんにその怒りを聞いてもらってったのだが、返って来た言葉はとても冷たかった。
「あたしが悪いのっ!?なんであたしが悪いのっ!?あたし告白しただけだよっ!?それなのにあたしが悪いのっ!?」
あたしは自分が悪いなんてこれっぽっちも思っていない!見る目があったかどーかを言われても沖田は普通にカッコイイし、たまに優しいし好きになって何が悪い!
そもそも告白されてあんな返事をする奴があるかぁぁあ!!
「うるせいやい。少しは静かにできないですかィ?」
今一番聞きたくない声が聞こえた。あたしは振り返りキッとそいつを睨む。そこには怠そうに頭をかく沖田がいた。
「なんか用?」
「お前がうるさくて寝れやしやせん」
「それはすいませんでしたねー!」
ツーンとそっぽを向くと沖田のため息が聞こえた。
「名前、ちょっときなせィ」
「へっ?ちょ、何よ!?」
腕を掴まれそのままあたしは屋上へと連れて行かれた。神楽ちゃんとお妙ちゃんは普通に無視。…友情ってなんだっけ?
たどり着いた先は屋上。昨日あたしが沖田に告白した場所だ。
沖田の手を振り払いあたしは目一杯叫ぶ。
「なんなのよ!沖田のバカ、アホ、ドジ、サド、S王子!」
「それが好きな相手に言う言葉ですかィ?」
「そうよっ!」
なんかもうやけっぱちだった。
「言っとくけど、あたしすっごく傷ついたんだからねっ!」
「へーへー」
「泣いてやるんだからぁあ!」
「泣くんじゃねェ。うぜぇでさァ」
「うざいって言ったぁぁあ!!」
「だから泣んじゃねェよっ!」
沖田はめんどくさそうに頭をガシガシとかく。
「言っておくが、お前が悪いんでィ」
「なんでよっ!?」
なんであたしが悪いのっ!?あたしが何したって言うのっ!?告白したことがそんなに嫌だったのっ!?あたし、そんなに沖田に嫌われているのっ!?
「沖田のバカァァア!!」
「だから泣くなって言ってるんでィ!」
泣きじゃくるあたしから目をそらして沖田はボソッと呟いた。
「俺が告白しようって決意したのにお前が先にするからいけないんでさァ」
ピタッとあたしは泣き止み沖田の顔を凝視する。
「だからお前から告白してきてふざけんなって思ってんでェ」
いつも飄々としている沖田の顔が赤い。
「………」
「………」
えっと…
で、どうすればいいの?
つまりアレだ、あたし達は両思いだったんだ。それなのになんなのこの締まりの悪さ…。
沖田も同じ気持ちらしく黙りこくってる。そもそも沖田が自分から告白するなんて変な意地はるからいけないんじゃないっ!
「だぁぁあクソっ!」
いきなり叫んだ沖田にあたしは驚く。沖田はビシッとあたしを指差した。
「いいか、今からお前は俺の彼女でィ!よって今日は一緒に帰る!いいなっ?」
顔を赤くしてそう言う沖田が可愛いくて、あたしは頬を緩ませながら「うんっ!」と返事をした。
いじっぱり
「で、さんざん俺をけなした覚悟出来てんだろうな?」
「……えへ?」