我が3―Bには仁王雅治という男子生徒がいる。全国常連のテニス部のレギュラー。顔良し運動神経良し。それにプラスいろんな地方の方便を交えた不思議な口調や口癖、そして彼が纏うミステリアスな雰囲気。彼の誕生日やバレンタインデーはいつもプレゼントが殺到する。
そこで私は彼の口調について考えてみた。私は彼の姉を知っているが彼女がおどけて使う以外に方便を使ったところを見たところも聞いたところもない。ようするに、両親の出身地に関係なく仁王雅治はあえていろんな地方の方便を使っているのだ。
それは何故か?私はそれについての考えをまとめてみようと思う。


私は理由は彼が所属しているテニス部にあると思う。早い話しがみんなイケメンで個性的でモテているのだ。
部長である幸村精市は我が立海の至宝とも言える。神の子という異名はまさに彼に相応しい。
副部長真田弦一郎は中学生とは思えないその渋顔で人気がある。昭和の親父を感じさせる威厳が一部の女子にはたまらんらしい。
柳蓮二は学年トップの頭脳を持ち生徒会に属している。その肩書だけでも十分過ぎるほどモテる要素を備えていると思われる。
柳生比呂士の紳士的態度にときめかない女子はいないだろう。彼を見ているとフランスに行きたい気持ちになる。
丸井ブン太にお菓子をあげるとすごく可愛い笑顔でお礼を言われる。彼の人懐っこい笑顔は癖になってしまい何度でもお菓子をあげたくなる。
ジャッカル桑原は気のいい人の代表例だと思う。文句を言いながら丸井ブン太の世話をするところは見ていて微笑ましい。
切原赤也ほど素晴らしい後輩属性はないだろう。先輩達を尊敬し後をついていく姿は可愛いらしいの一言。


テニス部レギュラーはみんなイケメンなのだ。イケメンなうえで生まれもった人を引き付ける個性を持っている。
ここに普通の口調の仁王雅治を入れてみよう。個性のないただのイケメン。テニス部内では間違いなく影の薄い存在となるだろう。


以上のことから私は仁王雅治が変わった口調なのはモテたいからという理由とテニス部レギュラーメンバーに見劣りしたくないからだと考える。














「…て言うレポートを提出したら書き直しって言われたんだけど」
「あたりまえじゃい。おまえさん俺をなんだと思ってるんじゃ」


私の力作であり先生に突き返された生き物観察のレポートを読んだ仁王は露骨に顔をしかめる。


「えー、だって生き物ならどんなのでもいいって先生言ってたじゃん。人間だって生き物だし」
「そういう意味じゃなか。これじゃあ俺が異常な人間するじゃろ」


ぶつぶつと文句を言いながら仁王は私のレポートを机にたたき付けるように置く。…なんで怒ってんのコイツ?


「ならなんでそんな口調なのか教えてよ」
「そりゃ決まっちょるぜよ」


仁王は腕を組みさも当然のように誇らしげに言い放った。


「この口調がおれに似合ってるからじゃ」











とある異常な男の正常な言い訳。



「次は丸井の胃袋について書くか」
「間違いなくまた書き直しじゃな」






企画『オリオン』様に提出。
ありがとうございました。



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