私とイタチの関係を表す言葉を探してみる。友達、仲間、家族、恋人。


…どれも違う。






私とイタチが初めて出会ったのは任務でチームを組んだ時。彼の強さに私は全面的な信頼を置き、イタチも私の強さを認めてくれた。その関係はひどく心地好く、私は満ち足りた。


うちはを滅ぼす命がイタチにくだされ、嘆きと苦しみの葛藤に身を置く彼を私はただ抱きしめた。イタチは縋り付くように私を抱きしめ返した。苦しみを分かち合うパートナーに私は選ばれた。


満月の夜に閉じたうちはの歴史。それに私は関与していない。イタチは私に同胞殺しをして欲しくないと言ったから。自分は同族殺しをしたのに。優しくて強いイタチ。イタチと共に木の葉を去ることに私は迷いなどなかった。


暁に入ってからも私は部下としてイタチの傍にいた。傍にいることを約束した。絶対イタチより先に死んだりしない。そう言うとイタチは心から嬉しそうに笑った。


木漏れ日の下で唇を重ねることはあっても夜の帳の中で愛を囁くことはなかった。愛してる、そんな言葉さえ二人の間では陳腐に聞こえる。


私とイタチの関係を表す言葉を探してみる。友達、仲間、家族、恋人。


…どれも違う。


イタチにこの話しをふると「共犯者」という答えが返ってきた。
なるほど。確かにそれが一番適切な言葉かもしれない。


私とイタチは背中を合わせで立ち、返り血をあび手を血で染めあげた。どちらかの罪はもう一人の罪。そうやって生きてきた。


私は誰よりもイタチを理解してイタチは誰よりも私を理解している。


だから、私は黙って死にゆくイタチを見送る。


今日、イタチは死ぬ。
実の弟の手によって。


それはイタチが望んだこと。だから私はそれを理解しなければならない。理解しなければ、ならない。


なのに、心が叫ぶ。イタチを失いたくない、と。
一度零れた涙はもう止まらない。涙を流す私に向かってイタチは言い放つ。


「俺が死んでもお前は生きろ。そして、幸せになれ」


この瞬間私達は共犯者ではなくなった。
私は愛する男を失う悲しみに暮れる女に。
イタチは愛する人の幸せを願う男に。
ただの、愛し合う男と女に。











砕けた玉の色は何色か



それが嬉しいことなのか哀しいことなのか私には分からない。
だから、その答えが見付かるまで私は生きてみようと思う。イタチが願った通りに。





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