今日は節分です。


朝から女中総出で寿司飯を作り、恵方巻を作りました。屯所全員分の恵方巻となると本当に一苦労です。
隊士の分だけでなく、女中みんなの分。さらに家庭がある女中の家族分まで。


私は「若いんだから!」と言われてずっと寿司飯をしゃもじで混ぜていました。量が量なだけに大変です。しかも複数に分けて寿司飯を作ったのでもう…。
明日は間違いなく筋肉痛です。というかすでになっています。おお、私若いなー。本当は筋肉痛がくる感覚が違うのは歳と関係ないらしいんですけどね。


慌ただしく働いているとあっという間に夜になりました。


一部の女中さん達は家へ帰り、隊士と住み込みで働く女中さん達で節分パーティーをしました。
パーティーと言ってもただの飲み会です。お酒が飲めない私はちっとも楽しくありません。近所迷惑!というほどみんなは騒いでいます。しまいには局長さんは素っ裸で踊りだし…。
そんなんだから不良警察とか言われるんですよ。


晩ご飯が終わるとみんなで豆まきです。


鬼はー外ー
福はー内ー


…いい歳した男達がはしゃいで豆投げている姿は絵的にむさ苦しいし虚しいです。


ため息をつき私は自分の歳の分だけ豆を食べます。節分の豆はおいしいから好きです。
私の横では沖田隊長がガツガツと豆を食べていました。どう見ても自分の歳以上食べてます。


お酒の力か、みなさんのテンションはピークです。全裸の局長に全力で豆をぶつけています。痛そうです。こんなんがトップでいいんですか真選組。威厳のカケラも感じないんですけど。
私もそろそろ再就職先を見付けた方がいいかもしれません。


「よしっ」


声がした方を見るとそこにはバズーカを構えた沖田隊長が。


「…何をするつもりですか?」


物凄く嫌な予感がするんですけど。
ニヤリッと笑うその顔を見て私は自分の予感が当たったことに気付きました。


「なぁに、鬼を退治するんでさァ」
「…………。…あ〜……」


沖田さんの宿敵
真選組の鬼


そのキーワードに値する人は一人しかいません。「この中には豆弾が入っているんでさァ」と言う沖田隊長はとても楽しそうです。
被害が降りかからないとは限らないので私はその場から避難することにしました。


「鬼はー外ー!!」


騒がしくなった居間。鬼の副長の叫び声。その他巻き込まれた人の悲鳴。「局長ぉぉお!!」という悲鳴には驚きました。えっ、局長さん死んだんですか?
廊下に出てよかったと心から思います。


2月はまだ寒く、私が吐く息は白いです。少し寒いかな?
居間の騒音を聞きながら私は持っていた豆を中庭へ向かって投げました。


「鬼はー外ー」


神様。
私は騒がしこの日々が気に入っています。どうか、私が大好きな真選組のみなさんを厄災から守ってください。


「そんなところで何やってるの?」
「山崎さん…」
「ほら、行こうよ」
「……はいっ」








春を願うように君に幸せを願う



どうかこの幸せがいつまでも続きますように。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -