「もう今日という今日は許せないわ!幸村、勝負よ!」


ビシッと幸村を指差すとそれはもう冷たい眼差しを向けられた。あたしのピュアハートはそれだけでめげそうになる。ええい、負けてたまるか!


マネージャーと仕事の一つとしてドリンク作りがある。部員一人一人の好みに合わせて濃さを変えるんだけど、昨日幸村のドリンクの濃さをあたしは間違えてしまった。


「お前さ、何年マネージャーやってるの?今更こんなミスをしないでくれるかな。大事な試合前なんだ。マネージャーが注意力散漫とかやめてくれる?」


確かにあたしのミスだ。あたしが悪い。でもだからってここまで言われる必要はないだろ!ただでさえアンタのドリンクの調合難しいんだから!あたし以外のマネージャー作れないんだから!


一度幸村の態度にムカついてしまえば昔のことが芋づる式に出てきて、もう怒りが止まらなくなり、あたしは幸村に勝負を申し込むことを決意した。


「あたしが勝ったら幸村、アンタ一週間マネージャーの仕事しなさい!マネージャーの仕事の辛さを思いしればいいわ!」
「…分かった。なら俺が勝った場合は一週間お前俺の奴隷だからね」
「うっ…」


そうくるか…!?
幸村の奴隷とか死んでも嫌だ。むしろ死ぬって。でもここで引いてしまえばやる前から負けた感じがする。それは嫌だ。あたしは勝つんだ!


「いいわよ!」
「その言葉、忘れるなよ?」


ひいぃぃい!目がマジだよ笑ってないよ怖いよ!負けないであたしお願いだから!


「で、勝負方法は?」
「もちろんテニスよ!」


幸村は首を傾げる。


「お前が俺に勝てるとか思っているのかい?」
「思ってるわけないでしょうが」


無理だから。普通に無理だから。普通じゃなくても無理だから。


「誰もあたしが相手をするとは言ってないわ。アンタの相手はコイツらよ!」


私は高らかに言い放ち幸村以外の立海R陣を指差した!
R陣は楽しそうな、面倒臭そうな、呆れたようなとりあえず多種多様な表情を浮かべている。
幸村がへぇ、と楽しそうに笑う。


「なんでそういう話しになったんだい?」
「幸村部長と戦えるせっかくの機会ッスからね!」
「女性のお願いを無下に断るわけにはいけませんから」
「いいデータが手に入ると思ってな」
「公衆の面前で土下座して頼まれちゃあな…」
「社会のレポートをやってやると言われたからのぅ」
「駅前のケーキ奢るって言われてよィ。しっかし真田ものるとは思わなかったな。なんでだ?」
「……聞くな」


幸村は見た目天使、中身悪魔な笑顔を浮かべて私を見た。


「お前がなりふり構わないバカだということを再確認したよ」
「えっへん」
「嬉しそうに頷くな。…まあ、」


幸村はラケットを握り不敵に笑う。


「やるからには徹底的にやるけどね」
「ふっ、いくらアンタでも7人連続で戦うのは辛いはず!体力がなくなってヘロヘロになったところを潰せばいいのよ!アンタ達!分かってるわね!?」
「先輩、それ悪者の作戦じゃないッスか!?」
「勝者が正義!これ世界の法則!」


さあ、いざ勝負!!





2時間後。


「勝てよ!一人ぐらい勝てよ!アンタらやる気あんの!?」


R陣は幸村に惨敗。強すぎるだろゴッドチャイルド!!
特に最後の真田戦とかヒデェ!


「だぁぁあ、クソッ負けたぁぁああ!!」
「私もまだまだですね」
「プリッ」
「ふむ。いいデータがとれたな」
「つか、幸村くんなんでそんなにマジなの…?」
「おい真田!しっかりしろ!大丈夫か!?」
「……さすが、幸村だ…」
「真田ぁぁああ!!」


悔しがるあたしに向かって幸村は誰もが魅力される天使の笑顔を浮かべて悪魔のセリフを言い放った。


「お前、今日から一週間俺の奴隷ね」
「ノオォォォオオ!!」


終わった!私の人生終わった!
絶望にうちひしがれているあたしとは正反対に幸村はいきいきとした笑顔を浮かべている。


「とりあえず登下校とお昼一緒にするってことで」
「…はっ?」


今なんと!?


「朝は俺がお前の家まで迎えに行くよ。放課後は俺の仕事が終わるまで待っとけよ。お昼は屋上がいいな。あ、手作り弁当作ってきて。俺は卵焼き砂糖派だからよろしく」
「ちょ、ちょっと待って!」
「あとさ」
「っ、」


幸村があたしの顔を覗き込む。息がかかる距離にある顔にあたしの心臓は大きく跳ね上がった。


「マネージャーの仕事が大変なことも、お前が仕事を頑張っていることも、俺はちゃんと知ってるよ」
「……幸村の、バカ」
「フフッ」


その笑顔が優しかったから、単純なあたしは明日は早起きして言われた通りお弁当を作ってやろう思った。



はたして奴隷生活は一週間で終わるのだろうか?









全てはあなたの手の内



「この黒ずみの弁当はなんの冗談?」
「真面目にこれでスイマセン。…無理して食べなくていいよ」
「食べるよ。手に怪我してまでお前が作ってくれたやつだし」
「幸村…」
「うわぁ、マズッ」
「2秒前のあたしの感動返して」





総合記念に侑香に送ります。
リクは『幸村VSR陣』
どこが?と自分で問いただしたくなる←
総合ありがとう\(^O^)/





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -