幼なじみの有利と初詣に来ました。


おさい銭もおみくじも終わり、今は絵馬を書いています。ちなみに私は小吉で有利は末吉。どっちもパッとしない、ごくごく平凡な結果。
真剣な表情で有利は絵馬を見ている。


「国家安泰…国民主義…種族の違いを乗り越えてみんな仲良く…いや、ここは平和主義としてラブ・アンド・ピースとか……」
「どこの王様だよ」


私のツッコミに有利は何故か慌てる。


「お、お前はなんて書いたんだよ」
「私?宝くじ三億円が当たりますように」


絵馬を見せながらちょっと誇こらしげに言うと有利は顔をしかめた。


「お前…もうちょっと女子高生らしいこと書けよ」
「有利、それ親父発言」
「なっ…!?」
「つかさ、女子高生らしいってどんなのよ?」


私の問いに有利は視線をさ迷わせながらもごもごと答える。


「そりゃ…彼氏が欲しいとかさ……」
「はんっ」


鼻で笑うと有利は変な顔をした。視線には侮蔑と哀れみが込められている…気がした。


「恋愛とか勉強はね、神頼みするもんじゃないの。自分で努力してつかみ取るものなの。自分で何もしてないのに神頼みだけするなんて情けないと思わない?」
「…確かに」


有利は納得したように頷きさっきよりも真剣な顔で絵馬を見つめた。


「お〜い!ゆうちゃ〜ん!甘酒もらって来たぞ〜!」


勝利兄がご機嫌な様子で駆けて来た。


「ちょっと、バカ兄。私の分は?」
「お前の分なんぞあるわけないだろう!ゆうちゃんと二人だけで来るつもりだったのに邪魔しやがって!」
「それはこっちのセリフだ!このブラコンヤロー!」


有利は苦笑しながら甘酒を一口飲み「暖かいよ」と言って私に紙コップを渡してくれた。受け取りながら有利のこういう優しい部分が好きだなぁ、としみじみ感じる。


今年こそ幼なじみを止めて恋人になるぞ、と決意した。








神様頼みなんてしない



まず、このブラコンヤローとの決着をつけないとね!





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