自来也先生が死んだ。


驚き、悲しみ。溢れ出る感情はたくさんあったけども、真っ先に脳裏に過ぎったのは、ナルトのことだった。
エロ仙人、エロ仙人と言い自来也先生を慕っていたナルト。親の温もりを知らずに育った子。村の人間から弾き出され迫害された子。
そんな彼の心を師匠として、親として埋めた人、自来也先生。その人が、死んだ。
ナルトは悲しむだろう。泣くのだろう。彼の心を慰めることなど、出来る人がいるのだろうか。







結論から言うのなら、私はうずまきナルトという子を侮っていたのだろう。
彼は強かった。悲しみに打ち勝つ強さを持っていた。悲しみを支えてくれる仲間を多く持っていた。


里を救った英雄、うずまきナルト。


もう彼を無視する者などいない。人々は彼を愛し讃える。
幼い日々、「ねーちゃんねーちゃん」と私を慕いよりどころにしていた寂しい子供はもういない。
もう、彼に私は必要ない。


「ねーちゃん!!」


びくっと体が震える。振り返れば昔と変わらない無邪気な笑顔。


傷付いた少年の心を救ったのは、
彼を認めてくれた教師。
ライバルでもあり親友だった少年。
初恋であり今の想い人である少女。
忍の道へと導いた先生。
彼を仲間だと言った同期たち。
彼を英雄だと讃えた里の者たち。
そして、彼に忍道を教えた師匠。


その中に、彼を救った者たちの中に、私はいるのだろうか?
…いたらいい。ナルトが今向けてくれている笑顔が確信だと、信じたい。


「ナルト、立派になったわね!」


西の魔女が死んだ(梨木香歩)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -