コレの続き。


我が3―Bには丸井ブン太という男子生徒がいる。全国常連のテニス部のレギュラー。顔良し運動神経良し。それにプラス甘いものをあげるととびっきりの笑顔を見せてくれるので母性本能がくすぐられる女子は少なくない。彼の誕生日やバレンタインデーはいつも甘い物が殺到する。
そこで私は彼の胃袋について考えてみた。
丸井ブン太は休み時間のたびに何かを食べている。今日は板チョコ五枚、ポッキー一箱、ケーキ二つ、飴玉一袋、ガム二袋、アイス一本。…胸やけがする。これが毎日なもんだから一体全体どうなってるんだヤツの胃袋は。


観察だけでは得られる情報がかぎられているので、そこで私は彼の周囲の人間から情報を集めることにした。





「ブン太の胃袋?あ〜…アイツの胃袋すごいよな。ケーキ食べ放題にいったら普通に20個は食うからよ。どこに入ってるのか不思議だぜ」


「丸井先輩?あの人ひどいですよ〜!俺が持ってきたポテチかってに空けて全部一人で食べちまったんです!というか、菓子とられるのがあたり前になってきたのが悔しいッス!」


「ブン太?アイツは本当よう食うのぅ。最近は女子がよくクッキーやマフィンを作ってきては渡しとる。アイツが喜んで食べるもんじゃき日に日に数が増えていっとけんのぉ。アイツの近くにいるだけで甘ったるい匂いがしちょる。…お前さん本気でそのレポート出すつもりか?」


「丸井くんについてですか?そうですね…。廊下での食べ歩きをやめて欲しいですね。廊下を掃除する方のご迷惑です。ガムを噛むにしても場を選んで欲しいものですね。…まあ、食玩をいただけるのは嬉しいのですが。い、いえ!なんでもありません!」


「丸井の食生活は本当にたるんどる!この前カバンの中身をチェックしたのだが、みごとに菓子だらけだった。確かに糖分をとることによって持久力はついているようだが、とりすぎというものだ!」


「丸井がこの調子で菓子を食べていけば肥満になる確率は78%だ。今は若いから消化されているが将来は間違いなくメタボリック症候群になるだろう。プラス糖尿病予備軍だな。最近はさらに量が増えてきたようだ。練習量を増やさなければ間違いなく体型に出てプレーに影響する。…よければ俺がつけた記録を参考にでもするか?」


「ブン太の胃袋について?へぇ、おもしろいことを調べてるんだね。これが今まで調べた内容かい?蓮二がつけたやつもあるのか。……ふーん。え?いや、なんでもないよ。フフッ、いいことを教えてくれてありがとう」





いろいろな情報が集まりこれらをもとに今後も観察を続けていきたい。


……が、情報収集が終わった次の日から突然丸井はお菓子を食べなくなった。女子が差し出す手作りクッキーにも手を伸ばさないし、回りの男子がスナック菓子を食べているのに手をださない。いきなりどうしたというのだ。
あと、変わったことと言えば丸井の部活のメニューが一人だけ違うようになった。みんなが素振りをしている中ずっと校庭を走っている。すごくしんどそうだ。
そんな日々が続き、レポートが進まなくなってしまった。










「丸井、丸井。アンタどうしていきなりお菓子食べなくなったの?」
「…うるせー」
「お菓子を食べなかったら死ぬ〜とか言っていたくせに。もう、こんなんじゃレポート書けないじゃん」
「レポート…?ないだよそれ」
「丸井ブン太の胃袋レポート。アンタを観察したり情報収集したり頑張ってんだから」
「……いろいろと文句を言いたいがその前に一つ聞く。その情報収集って誰にした?」
「テニス部レギュラー」
「てことはよぃ、幸村くんにもか?」
「うん」
「………」
「丸井?」
「っ、お前のせいかぁぁぁああああ!!!!」
「へ?何が?」
「お前が余計なことをしたせいで俺は菓子断食かつ部活でハードメニューを、」
「ブン太?何をしてるんだい、そろそろ部活の時間だよ?」
「ゆゆゆゆ、幸村くん…!」
「さて、今日も練習頑張ろうか」
「…………はい」








甘党少年の悲劇



「…え?私のレポートどうなんの?……しかたがない。次は幸村くんの笑顔のすばらしさについてのレポートを、」
「お前さんそろそろ真面目にレポート書いたらどうじゃ?」


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