あかいいと


「クダリのあまえる攻撃ー」
ベッドの上で毛糸を使ってマフラーを編んでたら、腹のところにクダリが突っ込んできた。うげ。
「それずつきだろ」
ぱたんと後ろに倒れた私に覆いかぶさるように這いあがってきた。
「えへへー」
にへらと笑うクダリに私の気も抜けてきてしまい、編み棒を落としてしまった。あーあ、まあいいか、どうせなんとなくしてみようかなって感じだったし。
「なまえのくすぐる攻撃!!」
おなかの痛みの分、精一杯反撃してやろうと腋に手を伸ばす。
「残念、まもる」
「ぎゃ」
腋を閉められて手を挟まれてしまった、引っ張っても全く動かない。どういう力で抑えてるのか。
「は、放してってば」
「やだー」
「……じ、じたばた攻撃」
「しめつける攻撃ー」
主に股間を狙って自由な足を動かそうとした私にいきなりがばっと抱きしめてきたクダリ。
きつ。うえ、し、死ぬ。むぎゅううとぬいぐるみを抱き締めるように締め潰される。
「みらーこ、と」
既に喋りづらいので自由になった腕でクダリを抱き締め返す。
「う!も、もうきついよなまえ」
「そっちが緩めたらね!!」
そっと抜けた力に私も力を抜けば、思っているより近くにクダリの顔があった。
「……」
目を合わせて見つめあっていれば、我にかえってくる。
なんだ、この恥ずかしい体勢は。
「……!なまえなまえ!!」
目を逸らそうとしたところでクダリが何かを思い付いたらしい。
「えへへ、メロメロ攻撃!!」
クダリのウィンク(メロメロ攻撃)を食らった私は多分赤くなってる。ちくしょう、負けっぱなしじゃんか、HPは赤色ゲージに達してる。
なんとなく負けた気がして、騒いでいる間に絡まった赤い毛糸を掴む。
「残念でした」
「あかいいと?」
「もちろんよ」
「ふふ」
「なに笑ってんの」
「だってボクもうなまえにメロメロなのに意味ないでしょ」
13.01.20

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