Q.誰が悪いのか


「ノボリさん、今日もカッコいい……」
ふふふ、なんてちいさく笑ってミルクティーを飲む私は傍から見たらすっごい変態だと思う。
私は彼の姿を目に入れながら、朝食をとる。
寝起きの悪い私は朝の早いノボリさんと一緒にとれない。
ほんとはいっつも一緒にいたくて、でもお仕事あるからそれ以外の時間は一緒にいたいのに。
久々の休みでつい遅くまで寝てしまった。今日も一緒に食べられなくて私の食欲はがた落ち。
最近仕事忙しくて、夜も帰りが遅い。ストーカー事件とかで仕事増えちゃったみたい。ストーカーとかほんと質が悪い。
体壊さないようにいっつも見守ってるからいいんだけど、お話しとかしたいから少し寂しい。
ノボリさんも今日はお腹すいてなかったのかな、昨日のうちに用意したサンドイッチ食べてくれてなかった。
本当に体壊してないといいけど。
それになんだかすっごく警戒してるみたい、目付きはいつもより鋭くて、ドキドキする。
あ、最近仕事が忙しくて、カメラを持ってくるの忘れちゃった。写真撮りたかったのに。
まあいっか、この目に焼き付けておけば……きっとまた一緒にいれば見れるもの。
でもいつもより本当に変。なんだか怯えてるみたい。キョロキョロ、そわそわ、どうしたのかな。
もしかしてまたあの女に付きまとわれてるのかな、ほんと勘弁してほしいよね。また一緒にいる時間減っちゃう。
いやだわ、あんな女のこと思い出したくもない。
辺りを見回すノボリさんが私と目が合う。
その瞬間びくりと体が跳ねさせたノボリさんは
そのまま帽子を目深にかぶり顔を隠すようにそそくさとトレインに逃げてしまった。
ふふふ、ノボリさんってばシャイなんだから。
だからばれない様にしてたのに気づかれちゃった。
今日は堂々と会いに行っちゃおうっと!
あ、シングルトレイン出発しちゃう。私も行かなくちゃ。
残っていたミルクティーを飲み干して、彼の後を追うようにシングルトレインに乗り込んだ。



結果は20戦目でクラウドさんに負けちゃった。
「絶対通さへんで」
なんて言われたらやる気でちゃったけど、ノーマル用メンバーを育成してて負け。
もちろん、廃人の端くれとしてはそんなの言い訳にしかならないんだけど。
クラウドさんももう少しノーマルらしく手加減してくれればいいのにって漏らしたら
ボスにお前は通すなって言われてるんやって返されちゃって、少しイラってした。
ノボリさんがそんなこと言うわけないのに。ノボリさんの待ってる7両目に足を進める。
「ちょ、待ちぃ!!」
私を止めるクラウドさん。7両目にいるお客様には悪いけど、私の愛はそんなの関係ないの。
クラウドさんを振り払って7両目のドアを開く。
そうしたら私の前には不快であり得ない光景が広がった。
「ねえ、ノ・ボ・リさん」
あの女がノボリさんに近寄ろうと腕を掴んで、キスをしようとしていた。


……。
私は無言でくそビッチの腕をひねりあげる。
うん、油断してたみたいで前より簡単にできた。前はしぶとかったからなあ。
なにかいってるみたいだけど、あなたの声に聞き取る価値なんてないわ。
「〇><""▽☆◆※◇%'("$&〜!!」
「なまえ!!やめんかい!!」
こっちを見て驚きの表情なノボリさんとクラウドさん。
先に我に返ったノボリさんが血相を変えて、私の方に手を伸ばす。
「なまえさま!!」


ノボリさんは私を背中から抱きしめた。


「ああ、なまえ様ダメじゃないですか!
あなた様が来ないようせっかくクラウドにわざわざ乗っていただいたのに、無理やり来てしまっては意味がありません。
この前のようになまえ様のお手を煩わせるなど、もしわたくしのせいであなた様が怪我でもしたらもう生きていけません。
さあ、そんなものお放しくださいまし。汚れてしまいますよ。
嫉妬してくださっているのでしょう。わたくしがつい気を抜いてしまったせいでこのように近づかれあまつさえ抱きつかれてしまい申し訳ございませんでした!わたくしとて不本意極まりないことをわかってください。
ああしかし嫉妬されるなまえ様はまた一段とお可愛らしいですね。
この後たっぷりお仕置きなら受けましょう。どうかその手を放してわたくしを抱きしめてくださいまし。
もしやこの女が触れた後では嫌でしょうか、ならばさっそく二人でシャワーを浴びて仮眠いたしましょう。
今日はなまえ様はぐっすり眠られてましたけれど、まだまだ寝たりないでしょう。
ええわたくしあなた様のことなら頭の先からすみずみまで知り尽くしていると自負しております。昨日いつお眠りになり、今日いつ起きたかまで。
それとも、先ほど目をそらしてしまったことを根に持っていらっしゃるのですか。すみませんあのまま見つめられてしまうと、我慢できそうになかったのです。
ここ最近まともになまえ様に触れていません。わたくしといたしましてももう限界でございます。
さあ早ーー」
「あかん、もうキとる」
はあ、と頭に手を当てため息をついたクラウドさんかっこいいー。まあ私はノボリさん一筋だけど。
ほぼノンストップなノボリさんのいっつも言ってくれないような言葉はもう少し聞いておきたいけど、この腐れビッチに聞かせるものはひとつもない。
ぎちぎちと固く抱きしめられる私は大満足、クラウドさんに腐れビッチを引き渡して私はノボリさんを抱きしめ返す。
「やり過ぎや」
赤いを通り越して腫れ上がったビッチの腕を見て、またため息をつくクラウドさん。
「はーい。じゃあクラウドさん、しっかりお願いしますね」
「わかっとる、もうこんなん二度と嫌やからな」
この女もろもろのせいで仕事が増えちゃって、いつもより三割増しぐらいでストレスメーターが振り切れてる廃人鉄道員さんにこってりトラウマになるぐらい絞られればいいわ。
私じゃなくて良かったね。私だったらライモンにも近寄れなくしてあげたのに。
自業自得よ、バカ女。見せつけるようにキスをする。

ほんと、ノボリさんってばチョーかっこいい。

―――――――
クラウドさん以外みんなストーカー

ついでにヒロインはクラウドさんと同僚みたいな感じ。
もう少し落ち着いたら直すかもしれません。

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