おいしいみず


「……」
「……大丈夫ですか?」
呆れ顔の上司が自分を見てくるのを感じたなまえはどうしようもない気分になった。
「だ、大丈夫…うっ、です」
「分かりました大丈夫ではないですね」
自己完結するなら聞かないでください。
とは上司には言えないものなのだ、大人って辛い。いや、というか今は違う意味で辛い。
「うっ」
「こちらまで気持ち悪くなりそうですね」
若干引いた顔をしているだろう上司の顔も私には見ていられないくらい辛いのだ。吐きそう。
「うう、ふう」
「なぜ、そんなになるまで飲まれたのですか」
「み、みんな、…ぅ、が……絡み酒なんて聞いてません!!……うえ」
いきなり大声を出したからもっと気持ち悪くなってきた。
「ああ、ですからみなさまの中で一番年下のあなた様に白羽の矢が立ったという」
というか主にあなたの片割れが私に酒を流し込んだりされたんですけどね!!
「は、はいぃ……ううぅ」
喋らせるなあああ、ああもういやああ。
「お水とってきます」
神の救いだ。動くだけでやばかった私には願ってもない申し出に、これ以上喋るのは危険だと思いコクコクと頷いた。
「お待たせしました」
それは自販のおいしいみずか、後で払わないと。
そっと口元に運ばれるそれに驚いて「いい!いいです!!」と叫ぶ。
「無理をされないように、わたくしが介抱いたします」
「いや、ほんと!悪いですって!!」
吐くかもしれないのに上司にお願いしてしまえるか!!やめて、やめてくださ、うっぷ。
「おや、わたくしではお嫌ですか……」
「そうじゃな……う!」
「では無理矢理がお好きと」
にやりと笑ったノボリさんがぐいっと口に飲み口を押し付けてきて、それを奪うように飲む。
「よろしい」
飲み干した私に珍しくにこーと笑ってきたノボリさん。つられてにこーと無理矢理笑えば、ではと私をトイレまで引っ張っていく。
い、嫌な予感がする。
「吐いて、ください」
ね?とハートが付きそうなノボリさんの楽しそうな声。
「ノボリさん、む、むりむりむり」
んー!!と首を振りまくる、あ、気持ち悪い。
「ほら、我慢しないで」
許してください、ごめんなさいぃぃぃい!!
「ねえ、楽になれますよ」
そう言って私の口に手を掛ける。そのまま口内を指で蹂躙しつつ奥へ奥へと指が入ってく。ひっ。
「ほ、ほんとやめ」
「さあなまえ、どうぞ」
「ごめ、ふう……」
指が遠慮なしに喉をついてきて……うあ。



「……あっれー二人ともエロいことしてたんじゃないのー?」
デリカシーのないクダリさんが、私とノボリさんが後始末を終えた後トイレから出たところで聞いてきた。
「く、クダリさんのせいです……からね!!」
「なまえの初めてはわたくしのものですかねえ」
「うるさいです……」
「え、なにそれ、ねえなに!?」
12.12.28

戻る


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -