にせもの、ほんもの1


剣盾ネタバレ注意報!
ストーリークリアしてから見てね!


「でっきたー!」
時刻は午後7時。この時間ならまだ大丈夫だろうと私は出来た服を持って、家を飛び出した。
実際には紙袋に入れて、鏡の前である程度服を整えて、隣の家に急ぐだけなのだけど!
「ポプラさーん!出来たよー!」
扉を開けて、きょろきょろとその姿を探す。
少し広めのポプラさんのお屋敷は基本的に出入りは自由だし、ポケモンたちもいたりする。
「あ、ベロバー、ポプラさんどこ?」
盗みの途中だったのか、どこかのランプを持っているベロバーが指を指す。その先にはほんのり明かりが見える。
「ありがと、でもそれ君には大きいんじゃない?」
ベロバーに手を振って長い廊下を走る。
「ポプラさーん、出来たよ新しい奴!」
どーんとドアを開けるとそこには少年が立っていた。
「あ、あれ?」
「誰ですか、貴女」
「おや、なまえかい」
前と後ろから声を掛けられる。振り向けばポプラさんが立っている。その足元にはさっきのベロバーが意地悪そうに笑っている。
「騙された!」
「またあんたからかわれたのかい。いい加減あたしを笑かすのはやめとくれ」
ここのポケモンたちはポプラさんに似て意地悪極まりないせいで、この屋敷を訪ねる回数はからかわれる回数とほぼ同じだ。
「ポプラさん、この人は?」
少年が私を挟んでポプラさんに尋ねる。
「この子に会うのは初めてだったかい。まあこの子たちと同じさ」
「人を新種のポケモンみたいに……。私はなまえです、一応、うーん、まあデザイナーみたいなものをしてまして。ああ、そうだ!ポプラさん新しいの出来たの!見て!」
じゃーんとワンピースの形のユニフォームを広げて見せる。ポプラさんは目を丸くさせて、困ったような笑いを溢す。
「悪いね、あたしはジムリーダーを引退するんだよ」
「……な、なんで?」
愕然と、なんてしてはいなかった。ポプラさんが新しいジムリーダーを探していることなんてよく知っていた。こんな日が来るってこともわかってた。
「あんたもわかってるだろう、年寄りがいつまでも偉そうにしてても良いことなんてないからねえ。それで、そっちが新しいジムリーダー候補さ」
「ビートです」
私の驚き様に若干引いている目の前の少年のことは、テレビの中継で知っている。
候補なんて言ってるけど、ポプラさんの中では確定事項で、紛れもなく、それは私がなりたいものになる人だった。

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