一発逆転りゅうせいぐん


メテノについてとアニポケ誇大解釈&捏造注意




「ホクラニ天文台、メテノの流星群、2年振りの大量観測」
パソコン画面に向かっていたなまえはくるりと僕の方を向いた。
「なまえ、サボり」
「休憩です、きゅーけー」
「だからってわざわざアローラ地方のニュース見なくたっていいじゃん」
仕事尽くしの僕らには星空もアローラ地方もあんまりにも縁遠くて、当て付けみたい。
「わかってますよ、私は別にクダリさんといられれば別に大丈夫です」
その割に膨らませた頬が、僕の予想の正解を示している。ぷすっと指を指してその頬の膨らみを潰せば、少し困ったようになまえが笑った。
「あ、なまえポケッターしてた!」
「すみません、私実はタイムライン監視員も兼任してまして」
「君の仕事はてつどういん、僕一応上司なんだけど!」
「そんなこと言って、動画開いてる上司の姿を見本にしてるんで仕方ないですね」
だって僕もメテノ流星群見たい!
なまえのパソコンをいじって、ニュースから動画ページへ飛べば画面いっぱいに夜空が見えた。
「わあ」
と声を漏らしたのは僕だったかなまえだったか。
いろんな色のメテノの降り注ぐ夜空はライモンの夜とは、雰囲気の違う鮮やかさを持っていた。その鮮やかさは視聴数に比例する映像の荒ささえ超えて、僕らを魅了した。
淡いくせに、鮮明なメテノの光が降り注いだと思ったら、ふわふわと浮かび上がる。
真っ黒のような深い青のような空のキャンバスにメテノたちが溶けていく。
「メテノたちは塵になってまた、メテノになるんだね」
「うん」
綺麗。だけど、隣で見ているなまえはメテノたちのことを儚んでいるように見えた。
「落ちてこなかったら良かったのに」
「悲しいかどうかは、メテノたちにしかわかんないよ」
キョトンとした顔のなまえに僕は笑った。
「変な顔」
「失礼にもほどがある」
メテノ流星群の動画が終わり、自動再生で流れ始めたのはアローラ観光のCMだ。
「ではクダリさん問題です」
「えー?なに?」
「私は今何を考えているでしょう」
じゃじゃん!とクイズ番組風に僕に向き直ったなまえがにやりと口角を上げた。
「そんなのわかるわけないじゃん。僕のことがかっこいいなあとか?」
「残念外れ、解答権は後二回です」
「えー今でしょ?メテノ綺麗とか?」
「さっきは思ってました。外れです。ラスト一回、ヒントはアローラ観光」
「え?じゃあ旅行行きたい、ってこと?」
なまえはすこしだけ残念そうに肩をすくめた。なんだろう、なんだか悪いことしている気分になる反応だ。
「ハネムーンはアローラのハノハノリゾートがいいなあ、でした」
立ち上がったなまえは、「仕事戻りまーす」と言って部屋を出た。
「待って!なまえ!僕はシンオウのつもりだったんだけど」
慌てて机の中の「ホテルグランドレイク」のチラシを片手になまえを追いかけた。

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