あかいいとイベント(偽)


メタ注意。ネタバレ注意。出来たらusumナッシーアイランドの雨宿りとあかいいと入手イベント終了後、お読みください。



「あかいいとを差し出せぇ!!!」
「な、なんですか、急に」
私はとある豪邸(プール付)の扉を蹴破り(普通に開けました)、その部屋の主人に掴みかかりました(これは本当)。
「ほんとマジふっざけんなよ!」
「どうしたんですか?」
先日、なんで私とは修行しないくせにハウくん達とは修行してんだよと掴みかかったこともあったせいか、割と手慣れた返答をされてしまい、少々残念な気持ちでいっぱいだ。ちなみに先々日は、唐突に真っ白で柔らかなお布団という名前の天国にナチュラルに入り込んで困らせたことをお伝えしておこう。そこにベッドがあるのが悪い。あとついでにベッドの下にはなにもなかった、いいね?(これも本当)。
「あかいいと!なんでプルリルなんですか!?え?本当にわかんない!イリマさん家にあるじゃないですか?そうですよね、あれですよ?なんでそっちはくれないんですか、意味わかんない」
「あれ、僕のですよ?」
指差して直談判しに来たのに、困ったように笑われてしまう。
「前作では馬鹿みたいにニャース捕まえて歩き回った私の気持ちがわかるか!!」
「前作って何の話ですか」
「こっちの話だ!!しかも私は新作発表で期待してたのにイリマさん関係ないじゃないですか!!イリマさんのあかいいと欲しいです、いります!!!こんな残念な気持ちになったのは、ナッシーアイランドでおっさんと雨宿りした時以来だよ!近々だよ!!!」
うわああああん!!とイリマさんの細い腰にしがみついて、ついでに仕立ての良いベストに顔を埋める。うわ高級な匂いがする。さすがお手伝いさんのいる家庭。っょぃ。良い匂いの概念を超越して高級な匂いがする。実際問題、トレーナーズスクールのプリンスのベスト絶対売れるよ売りませんけど。ていうかその割にスクールでイリマさんの話ししてる人いないんですけど、お手伝いさんの気のせいじゃないですか、そんなことない?なんてごちゃごちゃ考えていると、抱きついている相手の異変に気付いた。
「……イリマさん?」
私が抱きついたまま上を見て見上げれば、私を見下ろしているの顔に影が入って怖い。
さすがに怒っちゃったかぁ、大人しく離れて、機嫌が直るまで障らないでおこ……とかクズみたいなことを考えて、離れようとするとがっしりと掴まれた。ノーマルタイプだもんな、まきつくくらいできるよな。うん?
「男性と雨宿り、と言いました?」
「は、はい」
「ナッシーアイランドは僕も行ったことがあります、そんな雨宿りできるほどの場所は少ないでしょうね」
「え、ーと、そうですね、私の知る限り一箇所しかないですね」
あとはナッシーにお願いして、葉っぱの下に居させてもらうくらいかな、うん、高すぎて濡れそう。
「ええ、恐らく僕の想像している場所も同じだと思います」
「あはは、そうかもですね」
気付いてたまるものか!と笑い飛ばすけど、イリマさんの雰囲気は不穏になってきている。
「いいですか、貴女は女性なんです。島巡りをしている以上仕方ないことも分かりますが、自分の身の安全にもう少し気を配ってください」
見上げた顔をよく見れば、思ったよりも優しそうな、困ったような表情で私を見下ろしていた。
じっと見られていることに気づいたせいで、少し恥ずかしい。
あ、私今イケメンに抱きついてる。
今、めちゃくちゃ優しい表情で見られてる。
血の巡りが突然良くなって、顔が茹だつ。
「……あかいいとなら差し上げます、でもこんな風に男に抱きつくようなことはもうやめて下さいね」
溜息をついたイリマさんの腕の力が弱まった瞬間、その腕から逃れて、蹴破った扉を開ける。
「い、いいいイリマさんのあかいいとなんて、いりませーん!!」
逃げるが勝ちです、ごめんなさい!
どたどたと階段を駆け下り、ご迷惑をお掛けしました!と下に居たイリマさんのお父さんに頭を下げて、飛び出した。
勿論ながら、残されたイリマさんの表情を私は知らない。捨てギャグに怒っていたか、呆れていたか、困っていたか、笑っていたか。
ちなみに私は、あかいいとだなんてそれっぽいアイテムだとか、抱きついたこととか、さすがプリンスだとか、いろいろ死にたくなって真っ赤だったことは言うまでもないことなのです。



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