私は死んだのかもしれない。
なぜかはわからないが暗い暗いトンネル中をひたすら歩いている。出口があるかわからないのに。
私は死んだのかもしれない。二度言ったのは重要だからじゃなくてそれぐらいしか言えることがないからだ。
ちゃんと意識を持ち直したときにはそれしか思い当たらなかったのだ。このトンネルは三途の川現代バージョンなのかもしれない。
というか私は生きていたのか、とちらりと思うくらい今の私はおかしくて。
歩いてもかつーんと足音も鳴らない、いや裸足なのかもしれない、でもペタペタとも聞こえない、もしかして私今浮いてるんじゃない?足の感覚はない。
おかしいのはわかっている。足元を見れば解ることなのに、なんで私は見ないのだろう。
見れないものは仕方ない。さっきまで私は何をしていた。電車に乗ってた、あれ、そうだっけ。もっと……ああ、泣いてたんだ。
泣いていた、でもなんで?私人前では泣かないつもりだったのになあ、ああ一人だったのかも。
なんで泣いてたんだろう。
なんで泣く必要があったんだろう、今日は私は友達と遊ぶ予定だったのに。
泣くことなんて何もないはずなのに。

なんで。

自然と涙が溢れてく、あれ?どうして。ぼろぼろって、止まらないよ。
ひっく、ひっく。啜り泣く。今の私は汚い顔をしていることだろう。
ひくっ、ぐす。
泣いてるうちに思い出した。
私は自分の死体の前で泣いていたのだった。まだ、生きていたかった。私はまだ少ししか生きてない、人間の普通の寿命の半分にさえ全く達してない。なんで私は死んだのだろう、思い出せないよ。
ああでも私今なんで生きているの?これは死んでいるの?
やっぱりここは形は違えど三途の川なのだろうか。じゃあ行きたくない、逝きたくない。逝きたくないなあ、でもきっといかないと。
やだよ、まだ、いきたくない。
私の足が止まる。私は駄々っ子のように蹲ってしまった。
かつーん、かつーん。トンネルの向かい側、つまり私がなぜか向かっていた方向から足音が聞こえた。もしかしてお迎えってやつなのかも。私が渋ってるから。ああやっぱりいかないといけないのかな。
足が動かない。もちろん足があるのかは知らないけれど。
涙はまだ止めどなく出てきてる。ひっく。ぐず。やだなあ、やだなあ。

「見つけましたよ」

男の人がランプみたいなものを引き連れ、私を見下ろしてきました。
12.12.26

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