07


ちょっと前をピークに調子が悪かったノボリが隈はそのままだけど、楽しそう。
それは僕じゃなくてもわかったみたいで。
「ノボリさん最近楽しそうですねー」
「そーだね」
「クダリさん嬉しくなさそうですね」
「なーんかむかつく」
「へえ、でもほんとにノボリさんどうしたんでしょうね?」
ノボリが楽しそうなのは僕も知ってるけど、理由が全くわかんない。
ノボリが楽しそうなの僕も嬉しい、でもノボリが楽しそうな理由わかんないのは心配。
「彼女でも出来たんですか?」
「それはないよ、だって最近働き詰だし」
「あ、そっか」
そう、それはない。だから変なのに引っ掛かるとかじゃない。
だからまあいっか。どうせ色違いか優秀なポケモンが生まれたとかだろうし。
そう、だろうし。うん、平気。僕とノボリ、これで二両編成。マルチも調子良いみたいだし!!



「ノボリさんが来てから私はどうも癒しがそっちに向いてる」
ノボリさんと一緒の時間のため、お昼寝とか課題とかして、真面目生活してる私。自分の現在の状況を言葉にして驚いている。
前までパソコン前でにやにやしながら適当に課題をして、眠くなったら寝ちゃうとかよくあった。
「ノボリさんってすげー」
私更正させてるね。
で、久々に課題が少ないからパソコンでそーいうものを見てる。
やだ、ノボリさんがノボリさんじゃないなあ。と思いながらごろごろとしていたら、ガタッという音。お母様待ってそれ怖い。
「なまえ、さまですか?」
ノボリさんが入ってきた。え、あれ?おかしい。だってノボリさん今日まだ一時間くらい早いよ。
「ノボリさん、今日早いですねー」
「す、すみません。なまえさまに早く会いたくて」
「来ちゃった☆」みたいな彼女か。
「ノボリさん危ないですよ、私の両親と鉢合わせたらどうするんですかー」
まったくぅーなんて怒る気0の私の言葉にびくりと肩を揺らしてくるノボリさん。いや怒ってないですよ!?
「ご迷惑でしたか……そうですよね」
「大丈夫ですって、もー」
私は急いでパソコンを閉じ、部屋に戻ろうとするノボリさんを留める。パソコン見られた羞恥心で死んでしまう。
「私歯みがきしてきます、そこで待っててください」
来たら隠れればいいかと思って、私が歯みがきをしているとドンと衝撃が襲ってきた。危ない、喉を歯みがきで突くところだった。
「申し訳ありません、わたくし、あなた様が」
鏡にはうつ向くノボリさんと口の端から白い歯みがき粉混じりの涎を垂らす間抜けな私。
「ノボリさんとりあえずうがいさせてください」
もういい加減口の中ヒリヒリしてきた。


大人しく引っ付くだけのノボリさんの手をまだ少し濡れている手で引っ張って、マイルームを目指す。ガチャと母さん達の寝ている部屋の鍵が開く。やばっ!!
音があまり発たないように走って、ノボリさんをドアの死角に連れていく。
リビングに行った足音に安堵する。
「……」
「今日はなにかあったんですか?」
「な…か……」
「え?」
「なにかなくてはいけませんか」
俯きながらも私としっかり目が合うノボリさん。高給取りの高身長のイケメンめ。
「寒いですし、今日はベッドでお話しましょうか」
「なまえさま?」
自分を押し込んで隣に潜り込む私を不安そうな顔で見てくるノボリさん。私は思いの外ノボリさんが好きならしくその顔を見ているだけで何かフォローいれたいんだけど、クサくて恥ずかしい言葉しかでてこない。レパートリー痛い、やだなあ。
「私、いけないなんて言ってないですよ」
よし、大丈夫痛くない、恥ずかしくない。
むしろ好感度メーターがでてくれば、私はいい線いってんじゃないかな。まあ告白イベントは無視だけど。
「ありがとうございます」
小さく呟かれたそのお礼に私はほんの少し良い意味でこの人めんどくせーと頭の中で漏らしたわけだ。


「ねえねえ、ノボリさん」
「はいなんでしょうか」
「こっちとそっち何がちがうのかな」
「こちらにはポケモンがいます」
「こっちには良く似た動物がいるよ」
「では変わりなんてないのではないでしょうか」
「そっか、ないのか」
そう私の世界でノボリさん達がゲームでも、何一つ変わりはない。
1日は24時間だし、1年は365日。ノボリさんの心臓は私ときっとおんなじ場所だし、脈も打ってる。ただのたんぱく質の塊。
「そっかあ」
「なまえさま」
「なにー?」
「おやすみなさいまし」
「うーおやすみー」
ノボリさんは暖かいし、私もぬくぬく。ノボリさんも今日はなにもなかったらしいし、万々歳。今はまあそれでいいよね。
あ、でも出来るならノボリさんの隈がリングマからヒメグマレベルぐらいにはなればいいのにな。

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