左側の貴方


ここは、バトルサブウェイ。ポケモンたちのために割り振られた部屋。
私はノボリさんのダストダスさんの元、ワザマシンをノボリさんにお借りして(無断)、サイコキネシスの練習をしていた。
私はちょっと、出来が悪いらしい。……。
ビスケットのときはうまくいったんだけど、改めてやろうとしたら出来ないし。
シャンデラさんとドリュウズさん、クダリさんのデンチュラさん、アイアントさんが私の指導兼野次を飛ばしてくれている。
「……むーーー」
「ダスッ」
うまくいかず項垂れる私を皆さんが慰めてくる。
「むぅ」
もとより自分の覚える技じゃない分、覚えが悪いのは仕方ないらしい。
まあ皆さんはこんなことないらしいけど。
「おや、なにをしてるんですか?」
覗いてきたのはノボリさん!?ぶわっと散らばる私たちに首をかしげたノボリさんは、コートを羽織っている。
「さて、スーパーシングルです。シャンデラ、ドリュウズ行きますよ」
モンスターボールの中に戻るお二人とオノノクスさんのモンスターボールを持ったノボリさんは「行ってきます」と私やボールの外に出ていた皆さんに言って、その部屋を後にしました。
「むぅ」
部屋のいたるところから安堵のため息が聞こえます。
それもこれも私がサイコキネシスをノボリさんのお手伝いのために覚えたいといつも気にかけてくれるシャンデラさんに言ったからだ。
それから見かけによらず面白い性格のオノノクスさんの提案で、秘密でサイコキネシスを覚えることになったのだ。
「なまえー!」
「む!?」
むぎゅっと後ろから捕獲される。こんなことをするのは決まって、クダリさんなわけだけど。
「むー」
抗議するように鳴き声をあげる。
「あはは、怒らないで!」
「むう!」
「ねえそれよりサイコキネシス見せて」
なんでそれを!
「あのね、ワザマシン使ったら戻そうね、ノボリにばれる前に僕が戻してあげた!」
あ。
「さて、練習するんだよね?見せて」
「……む」
練習どおり、言われたとおり、目の前に力を集めるように……。
ぎゅっと溜めたエネルギーを……。
「あれ?」
クダリさんの声が聞こえた瞬間、しゅぅとエネルギーが消えていく。
「うーん、ヘタクソだね」
「むう」
「力不足じゃないはずなんだよね、ノボリが最初に言ってたもん」
君の力は強いはずだって。だから、もっと集中させる感じ。
溜める……か。
「君の場合はその赤い玉の部分に集めるといいと思うよ」
「むぅ?」
「それでムウマは怖がる心集めたりするの、だからきっとなまえの力を集めるのにも良いと思うよ」
そのアドバイスに正直言って見直しました。私は頷いてもう一度チャレンジする。
「むぅう」
溜めて、溜めて、それから……!
なにすればいいんだろう……?
「なまえ?」
訳わかんなくなって、混乱してしまった私は目の前のクダリさんを浮かせる。
「ひゃ!」
「むう!!」
ごめんなさいいいいい!慌ててダストダスさんがクダリさんをサイコキネシスで降ろす。
「あはは、ごめんね。力の使い場所に困ったんだよね」
よしよしと撫でてくれるクダリさん。
「むう」
その手に擦り寄れば、優しげな眼差しがそこかしこから向けられる。
「むうー」
ありがとうございましたって頭を下げれば、やったなー!みたいなそういう鳴き声が向けられる。
「さて、なまえ。ちょっと練習したら、最初のお仕事だよ」
「むう?」
「ノボリ、驚かせるんでしょ?」
「むう!」
帰ってきたノボリさんの帽子を受け取って、掛けておく。それからコートも受け取る。
クダリさんが出来る?ってすこしニヤニヤしながら聞いてくる。
最初のお仕事をしたときのノボリさんは喜んでくれるだろうか。驚くだろうか、勝手に技を覚えて怒るだろうか。

私は貴方の隣に近づけただろうか。


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