ゴーストバスター3


クダリが仕事のために部屋を後にした後、わたくしは初対面であるなまえさまに向き直り、頭を下げました。

「クダリを、助けてください」

情けないばかりですが、今のわたくしには目の前の方以外に頼れる方はいませんでした。
なまえさまは少しキョトンとした表情でわたくしを見てきます。やはりこんなことを頼むものではないのでしょうか。
そう考えていながらもわたくしは続けて話します。話すほかありません。
「クダリが最近おかしいことにはお気づきですか」
なまえさまは少し表情を険しくする。彼女の前では見せていないのかとも思いましたが、わたくしの想像が本当かもしれないと恐ろしくなる。
「夜中にホームを歩いたり、電車が来るというのに白線を超えて、まるで、自殺でもするような」
なまえさまは少し顔を歪めました。恋人のそんな話を聞きたいはずないでしょうから当たり前といえば当たり前かもしれません。
「……」
「それから、クダリは元々わたくしのことはノボリと呼んでおりました。性格も少し今とは明らかに違うのです……なまえさまはどうですか?」
「……」
なまえさまからの返答はなく、わたくしはやむなく続けます。
「わたくしにはクダリが別の人間になってしまったように見えるのです。恋人であるなまえさま何かご存知ではありませんか」
「……えっと」
「すみません、こんな話をして」
初対面でこれはだめだったかもしれないと、なまえと恋人を怖がらせてしまったクダリにも申し訳なくなる。
「いいえ、でもすみません。私もわからないんです」
頭を下げるなまえさま。
「いいんです、突然こんな……」
「いいえ、すみません。わたし、気づけなくて……」
「なまえさま……。何か分かったら教えて頂けますか」
「ええ、勿論……」
少し笑ったなまえさまを見て、クダリは素敵な方と出会えたのだと安心し、元に戻さなくてはと再度決意いたします。
「ああ、そうでした。なまえさま、コーヒーはいかがですか」
「あっいただきます」

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