ゴーストバスター4


目を覚ませば、真っ白な天井が目の前に合ってぼーっ見てしまう。
あれ。
ばっと起きれば、なまえさんが本を片手にこちらを見ていた。
「おはようございます、お加減はいかがですか」
「あ、だいじょ、ぶ」
ぱたんと小気味のいい音が聞こえて、くるっとぼくの方をなまえさんが向いてくる。
「そうですか、ヨノワールのことだから力加減は大丈夫なんですけど、貴方が全然起きないから殺したかと思いました」
「え、あっ!!」
ぼく、ヨノワールに近寄られて何かされて倒れたんだ!がばっと起き上がった瞬間違和感を感じた。
「あれ何!?」
「身体軽いでしょう?とり憑かれていたのは貴方だったんです」
なまえさんはまたもまるで物語を語るように話し始めた。
「貴方はお兄さんに軽いコンプレックスがあった。まあ人間コンプレックスの一つや二つ感じないわけないですよね。しかも近しい人間であればあるほど存在して当たり前でしょう」
「否定はしないけど……さ」
……ノボリは、強いから。
感じないわけじゃない。
「でも、それが何か関係あるの……?」
「この地下鉄は縦横無尽にこのイッシュ地方に広がっている、そうですよね。
人間交差点とでもいいましょうか、たくさんの人間がすれちがう。いいえ、人間以外も」
少し口角を上げた彼女。言わんとすることはわかった。
「このギアステーションには捨てられたポケモンがいる。しかも生まれたばかりのです。見ましたよ、変なトレーナー」
くっくっくっと抑えた様な笑い声。笑い事じゃないんだけどなあ。
「そんな彼らの中には保護でもされなければ生き残る術を知らない子だっているはず。
誰にも看取られずに死んだポケモンの魂が貴方に取り憑いた。よくあるでしょう、心の闇が……みたいな」
「じゃあ!なんで、ぼくに憑りついているのに君を呼んだの?」
「見つけて欲しかった。それこそよくあるでしょう?気付いてほしいんですよ。赤ちゃんですから、まだまだ甘え盛りなんでしょ」
とにかく、ぼくの方を見て、すこし柔らかな表情をしたなまえさんは続ける。
「彼らの身体は供養しました。あとはそう、貴方の身体に憑いた魂をあの世まで導くだけ。それが私のヨノワールの仕事。オールオッケー、問題はありません。これでお仕事は終了です」
「……ぼく、だったんだ」
自分の手をグーパーしたりして、はあと溜息を吐く。
まさかこんなことになるなんてね。ぼく、すごいバカみたい……。
「これからはちゃんと御供養してあげることをオススメしますよ。一度、こーいうことに巻き込まれるとこれからも巻き込まれやすくなるといいますからね」
「……そ、そうなんだ」
やだなあ。
「アフターケアも万全ですのでその時はまたどーぞ。有料ですけど」
ふざけたように笑った彼女はもう一言続けた。
「ああでも報酬は電車乗り放題とかでもいいですよ。今ならもれなく可愛いポケモンが憑いてくる」
それ、全然笑えないんだけど。

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