愛を誓う人たち


クダリさんクダリさんクダリさんクダリさんクダリさんクダリさんクダリさん!
さて皆様こんにちはこんばんは。
私、なまえと申します。
クダリさんという超絶素敵な旦那様に娶られ、早一年。
幸せな結婚生活おくっております。
「何ニヤニヤしてるの気持ち悪い」
この方が私のスーパー素敵な旦那様のクダリさんです。
え、いやいやいや、って何がですか。
少し言葉があれですが、つまりあれは何か嬉しいことでもあったのって聞いてるんですよ。
「私クダリさんの椅子になれてうれしいなあって」
「気持ち悪い」


最近クダリさんの目が本当に、怖くなってきています。かっこいい。


「離婚しよう」
「あ、あ!ありがとう、ございます!」
幸福に息が詰まりそうになる。
そう、クダリさんからまだ頂いたことのないご褒美。
バツをつけていただくってまるで存在否定されてみたいドキドキしてしまいます。
ずりずりと引きずられるように役所に連れていかれ、渡された離婚届。
「書いて」
虫、いやクダリさんは虫ポケモン好きだから生ゴミでも見るような目で監視されながら、私は一緒に渡されたペンを手に取る。
「早く書いて、これから先君に割く僕の時間なんてない」
クダリさんの言葉に唾を飲み、ぷるぷると震える手を押さえながら、ペン先をその紙に当てます。
「はあ……」
口が弧を描くのを止められず、くぅと声が漏れてしまいます。
「気持ち悪い」
……!
はあ。爪先に力が入る。
「あ、ノボリ?あのね、証人に役所きてくれない……え?離婚届の、いるの忘れてた……なんで!いいでしょ!……うん、うん、わかった、ありがと」
じっと見ているらしいクダリさんの視線に身がよじれてしまう。
「のろい、早くして、ノボリ達がきてくれるまでに終わってなかったら許さないから」
「あ、はい……あの!あ、は……終わりました」
ばっともぎ取るように取られてしまう。
クダリさんもかっ、かっとペン先を叩きつけるように離婚届の空欄が埋まっていく。
どくどくと、激しい鼓動に私はおかしくなってしまいそう。
「あ、」
ノボリさんとカミツレさんだ。
「書いてー」
「ご足労頂きありがとう」
くらい言いなさい、とノボリさんに頭を叩かれたクダリさん。……。
「まあいいじゃない」
カミツレさんが嗜めるように笑う。クダリさんが笑って私の隣にくる。
「いいなあ、とか思ってたら殺すよ」
耳元で呟かれたその言葉にぴくんと身体が揺れる。
「はあ、ふぅ、」
漏れた声を口に手を当て抑えつける。
クダリさんが、カミツレさん達からすべて滞りなく埋まった離婚届を受け取る。
どくん。
と高鳴る心臓を押さえる。
それを持ったクダリさんはかつかつと苛立ったように受付に歩いていく。

どきどき、

クダリさんが受付の人に離婚届を渡そうとする。
「……あ」
私が、抑えきれない声を漏らした瞬間、クダリさんはその離婚届を縦に真っ二つにした。

「またですか」
「またなのね」
私の後ろのノボリさんとカミツレさんが深いため息を吐く。
「もう」
すごくイライラしたクダリさんが、戻ってきた。
「めんどくさい、帰るよ」
後ろのお二人も付き合ってられないと言って帰っていく。
「はい、クダリさん!」
焦らしプレイが御上手な旦那様です、素敵でしょう?
H25.08.05

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