降ればどしゃ降り(匿名様)


……誰でしょうか、この方は。
わたくしはいつもより早く目が覚めてしまい、愛しいなまえさまの寝顔を堪能させて頂こうかと思い立ち、隣で眠るはずのなまえさまの方を見ました。
ですが、そこには見知らぬ、男性がいらっしゃいました。(その時小さく悲鳴をあげてしまったのはなまえさまには内緒です)
青年と少年の間と、でも言うべきでしょうか、それはもうすやすやと寝息を立てていたため、起こすに起こせずに正座でその彼を遠巻きに観察することにしました。
「それにしてもぐっすりと……」
落ち着きなさい、ノボリ。
なまえさまがいらっしゃらないということは、確実に彼が関連し……。
落ち着こうと、手を胸に当て深呼吸をしようとしました。
「……」
自分の胸がその手を微かに押し返してきたのを感じ、少し頭を働かせ、深呼吸をします。
目の前のなまえさまらしき少年を見ました。
なぜでしょうか、急にその寝顔が愛おしくなってきました。
わたくしは起こそうなど塵も思えず、もう一度布団にもぐりこみました。
ああ、暖かい。



やあ、皆様。こんにちはこんばんは、なまえです。ご機嫌麗しゅう。
はてさて、今回は。
「ベタだわー」
逆トリ、トリップに引き続き性転換してしまいました。
ふっざけんな!
股に多大なる違和感を感じながら、打ちひしがれる。
この調子でいけば、きっと次は猫耳が生えるか中身が入れ替わるなー。なんて頷きながら腕を組んで目の前ですやすや眠るノボリさんを見下ろす。
つやつやの髪が丁重に伸ばされている。私はベリーショートなのにめちゃくちゃ色気がある、みたいなのが見たかった。
いやこれもいいけど。いいけどっていうかいい。
まあでもノボリさんが起きてなくて良かった。この人のキャパシティでこれを許容できるのか不安なものがある。
「かわいいなあ」
わりとおっきなお胸さまも魅力的ではあるんですが、すやすやと眠るノボリさんの安らかな寝顔に目がいく。
ちくしょう、体が男だからか思考回路までおっさん臭い。まあ多分私自体がすでにそういう思考回路なんだろうなあと気が遠くなる。
綺麗な髪。
閉じられた目を縁取る長いまつげ。
いつも通り逆三角を形作る唇は艶やかで。
ごくり、と唾を飲む。
そっと起こさないように顔に落ちた横髪を耳に掛け、顔を近づけてよく見る。目蓋が開いたらどんな綺麗な目が現れてくれるのか。
本当にきれい。
白い肌は前にも増してすべすべしている。指を滑らせ、ぐいっと片方の口角をあげて見せる。
その姿がいかにも無防備で笑いが漏れる。
そういえばこれはいつ戻るのかなあ、ノボリさんが私の方に来た時も、私がここにいるのも続いてるからなあ、すぐに戻るのかすごい不安。
「なまえ……さま?」
「起きちゃった?」
殆ど開いていない目で私を見てくるノボリさんが私の首に腕をかける。
「う……ぅ」
ぎゅうっと引き寄せられ耳元で息を吐かれ、身体が固まる。
「なまえさ、ま……ん」
「はい」
「好き……れ、す」
……男の時に言ってくださいよねえ。
高い声で、舌足らずに呟かれた言葉の破壊力にきあいだま食らったバンギラスの気分、いや、この人にきあいだまは違うか。
ははっと声が漏れてしまう。まったく、間が悪いにもほどがありますよノボリさん。
かわいい通り越してあざといです。
まあ、そんなあなたにころっといっちゃう私はなんともまあ簡単なやつだよね。
「まあ、いっか」
戻れなくて、もしノボリさんがクビになったら、次は私がばりばり働いて養えばいいわけだし。そうでなくてもこの人ならトレーナー狩りで普通に食べていけるか。専業主婦とか似合いそうだけど。
エプロン付けて味噌汁の味を見るノボリさんを想像して、ぶっと吹き出してしまった。
あ、唾飛んでないよね。
私の心配を余所にノボリさんはその色っぽい体を捩って、私に擦り寄ってくる。えろいな。
おやすみなさい。私はノボリさんの背中に腕を回して目を閉じた。
……ノボリさん、胸当たってるんですけど。

――――――――


初めまして。おめでとうありがとうございます。
糖度お任せということでしたので、この甘なんだか、ほのぼのなんだかよくわからない、このサイトにあふれかえっている微妙テンションで書かせていただきました(笑)
素敵だなんて、もったいないお言葉ありがとうございます///
リクエストありがとうございました。
これからも朝食もろともよろしくしてくださるとすごくうれしいです。

戻る


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -