星に願いを


特殊設定につき閲覧注意













『きっと君は』
三か月ほど、続けて流星群の見れる日が一日ずつあってその日こそ今日なのだ。
先月も先々月も見逃した私はついにベランダに出てみた。
「見えねー」
残念ながら私の家のベランダからは見えないらしい。なーんだ見えないなら仕方ない。
もぞもぞとそのままベッドにもぐりこんで寝てしまった。
「ねえ」
夢うつつ、うっすらとそう呼ばれた気がした。
気がした、つもり。


一度起きた私は眠さに負けてベッドで惰眠をむさぼり、緩慢な動きでベッドから這い出た。
「あ、おはよ!」
「おはよ」
あれ?私は一人暮らしのはずだ。顔をあげればグレーのようなおおよそ私の大学にはいない髪の色の男がにっこり笑って立っていた。
「……だれ?」
「今日は遅いね!いっつも早いのに」
「え、うん今日は午前講義ないから」
いやなんで私は普通に答える、そしてあなたは誰だ、私がいっつも早いのをなぜ知ってる。
「ほんとだれ?」
「あ、ご飯作ったよー。食べる?」
私の質問は聞こえないのか無視しているのか、彼はそんなふうにおいしそうに飾られた朝食らしきものを見せてきた。あ、おいしそう。
「食べないの?うまくできたのに」
もーもったいないでしょーなんて言いながら私がいつも座る位置のテーブルを挟んだ反対側に座る彼。
「いただきます」
髪の色に似合わず和食派らしい彼は彼作なのだろうお味噌汁をすすっている。おいしそうに食べる人だ。
「ほら、食べよ」
私の方を見てそうにこやかに言った彼ははやくも口の端にお米をつけている。悪い人……ではないんだろう、きっと。
なんて思った私は自棄にでもなっていたのだろう。別に大したことではないが、人間関係や課題のつらさで人恋しくなっていた。そういうことにしておこう、そうでもないならきっと彼の笑顔のせい、そういうことにしておこう。
「付いてる」
お米、って私は自分のほっぺの彼のほっぺのお米と同じの位置を指差した。


美味しかった。とても美味しかった。
朝食を彼と食べた私は食べながら少し話をした。
名前はクダリというらしい。ついでに聞いてもないのに双子の兄の名前も教えてくれた。ノボリお兄さんらしい。正直どうでもいい。
「ねえ、クダリはどうやってこの家に入ってきたの?」
もっとも重要なことを尋ねたら、ベランダを指差して、クダリはこう答えた。
「あのね、そこ開いてた。だから入っちゃった」
「は!?ちょっと待ってここ何階だと思ってんの!?」
確かに昨日閉め忘れた気はするが、私はマンションのわりと高い階に住んでたつもりなんだけど。
「えっと、知らない」
「ほんと、どうやって入ってきたの」
「だから窓から」
答える気はないらしい、悪い人ではないと思ったんだけど。警察に行こうかなあ。
「じゃあさ、クダリ何人なの?その髪の色からして日本人っぽくないけど、ハーフとかクォーターなの?」
彼の髪は日本人には染めない限りはいないだろうし、その髪のグレーは彼にとても似合っていた。しっくりくるというべきか、黒や茶以外で染めると大概違和感がでるのが日本人だろう、なんて言うのは私の偏見なんだろうか。
「うん?僕人じゃないよ」
「はあ?」
「僕は星だよ、君の家のベランダに落ちちゃった」
まさかの人じゃない発言だ、訳がわからない。
しかしきっと彼は落ちてきたのかもしれない、泥棒とか最近は屋上から侵入してこようとするって聞くし、その時頭でも打ってこんなことを言っているんだろう。
「ねえ」
「なに」
「信じてくれないの?」
「当たり前」
「そっか」
残念そうに呟いた彼に私は目を奪われた。
うーんなんて子供みたいに考え込む彼はまるで粒子でもついて回るようにきらめいていた。その男の人にしては長いまつげを伏せて、悩ましげな表情をする彼。
星か、だからこんなに綺麗なのかもね。
「僕をここにおいて」
だからこんなにも彼が眩しく見えたのかも。

まあつまりそういうこと。
その後私は常識をどこかに忘れてきている彼に振り回され、本当に星かもと納得してしまうわけだが、それはまた別の話。






↑の続編で↑以上の特殊設定につき閲覧注意




『Twinkle, twinkle, little star』
わたくしは空から落ちていた。クダリと別れ、たった一人自らが燃えていくのを見ていたのだ。
クダリは一ヶ月前、仲間が落ちていくのを眺めていた。そしてある女性に一目惚れをした。というのがわたくしの見解だ。
あれから下界ばかりを眺めていて、時折わたくしと同じような顔をしながらぽつりと「なまえ」と漏らした。
ああきっと弟はわたくしと一緒には落ちてはくれないだろう。きっとその女性のもとへ落ちていくのだろう。
そう、わたくしはそんな弟と同じようになることさえなく、落ちて燃えてそしてきっと灰になる。
そう思っていたのに。
「ノボリ?」
「ああ、どうされましたか」
「ううん、ほらいこう」
わたくしの腕を引っ張る彼女は少女のようにくるくると愛らしく笑っている。
わたくしは彼女に救われた。
地面に四肢を放り出し諦めきっていたわたくしを家に連れていき介抱してくださったのだ。
これだけ聞けばただのいい話だろう。
しかしわたくしは知っていました。
わたくしのこの体には人間にはないものがある。それは星だ。わたくし達自身が星だからこの言い方には少し矛盾を感じるが、わたくしの体の人間の心臓のある場所には星の固まりが埋め込まれている。つまりわたくしたちの心臓だ。
それを彼女は見てしまったのだろう、あれはそういうものだった。
命のきらめきは何より美しい、危機に瀕したわたくしのそれはきっと一番きれいだったのだろう。
だから……。
「ノボリ」
「はい」
「ねえ、お願い見せて」
わたくしの上に乗りあがり、まるで人間の生殖行為の最中のような恍惚とした表情でおねだりするのだ。
わたくしがそっと彼女に頂いた服をめくり上げれば、食い入るようにそれに顔を近づける。
彼女はそれだけを見ている。その石とわたくしの肌の境を撫でながらいとおしそうに眺める。

「きっとあなたは」
ぽつりとこぼれた言葉も今は彼女に聞こえることはない。

向かい側の歩道では弟が車道側を歩いて腰に手を回している女性がきっとなまえさまなのだろう。
頭のいいあの子のことだ。クダリは見せていないのだろう。

それでもわたくしは彼女が好きになったのだ。
きっと彼女はわたくしを好きにはなってくれないだろう。
だってわたくしはあなたの名前さえ知らないのだから。

――――――――――

訳わからない話になってしまったorz
自覚はしている。

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