four


クラスにぽつんと2人しか残っていない。
「な、なあ」
クラスの男の子。うーん、えーと。
名前の覚えが人一倍悪い私は、仕方なく仮定、田中くんに首を傾げる。
「なあに?」
「いや、あのさ、ノボリと付き合ってるって本当なの?」
「あー」
さて、ここで正直に首を縦に振ればきっと明日には広まりまくりだろうなあ。
かと言って嘘を吐くのはノボリくんに失礼だから、「うん」とまったくなに一つ考えてないみたいに適当な感じに答える。
田中くんは「あー、うん、そっか」とこれまた適当な返事が返ってきた。
沈黙が続く。
これは私からなにか言った方がいいのか。「他の人には内緒だよはーと」とかか、うん無理かな。
「あのさ、」
「うん」
「あいつさ」
「ノボリくん?」
「うん、あいつさ、気を付けろよ」
私は妙な言葉に、推定田中くんを見る。
すこしバツが悪そうに目をそらしながら、口を動かしてる。
「あいつさ、俺とおんなじ学校なんだ」
「そりゃそうだろ」
「あ、違う違う。小中な!」
「あー」
「それでさ」

あいつって一度すっげえ事件起こしたことあるんだよ。

小4と中1くらいに、

弟をいじって、いや多分いじめてたやつだと思うだけどな。

突き落としたらしいんだよ。

そのあと田中くん(仮)は変なことを言ったと謝罪して、「じゃ、部活行くからまたな」なんて言って出て行った。
まあ私はそれに「うん、また明日」って手を振りながら考えた。
私の脳内を占拠している彼が言った突き落とした、という言葉である。
二度あることは三度あるらしいけども。
「まさか、ね」
部活途中の誰かさんの鞄が掛かっているのを確認して、開けっ放しのその教室を後にした。
そうしたら、廊下の窓から校庭を眺めているノボリくんを見かけた。
じとっとしたノボリくんの視線の先には、推定田中くんらしき人がいたように見えた。
その表情がどうにも怖く感じたのは私だけなのだろうか。
H25.07.23

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