one


「おはようございますなまえ!」
「あ、おはようノボリ、くん」
「ノボリでよろしいですよ」
「う、うん……」
はいそこのバカップル死ねって思った方、私もそう思います。
「行きましょう?」
そっとノボリく……ノボリが私の手を掴み、学校へ向かう、え、ちょっと待って、手!手!
このままいくと、クラスの人に囃し立てられちゃうよ!?
「なまえ?」
手を離せなんて言えずに校門の前まで行けば、自然にそっと手を離してくれたノボリくん。……あ、うん。ちょっとだけもったいない気さえしてくる自分には気づかないことにして、校門をくぐった。


はてさて、我が校でも評判のイケメン双子兄弟の片割れノボリく、ノボリと私がこんなアベック、いちゃいちゃ、バカップルみたいなやり取りをしているかと言えば、少し前にノボリ……が私に告白してきたのが事の起こりなのだが。
なぜ、こんな平凡且つ、どうしようもないそこらへんに落ちているような女に告白してきたのやら……。別に私は彼の幼馴染ってわけでもなく、ノボリくんとおんなじクラスなったのさえこれが初めてだ。
まあ、私はこくんって頷いたらがばああって抱きしめられたのだ。ついでに場所は体育館裏だったりするからベタだと笑っていいと思うの。
まあいわゆるあ、そこにいたの?みたいなタイプの私のどこを好きになったのか、全くもって見当もつかない。ついでに、それについては一度聞いたことあるけれどご自分を卑下にしてはいけませんよそんな謙虚なあなただって素敵ですが、とか爽やかスマイルで言っちゃいやがるからとても困る。
「なまえ」
「なあに」
「今日、寄り道して帰りませんか?」
今日も、の間違いでしょう。最近の私の放課後はいつもノボリくんと一緒だ。補習受けたり、図書館行ったり、休みの日も暇さえあれば誘われる。適度に一緒に出掛け、健全な付き合いをしているわけです。
「この前、弟がおいしいクレープ屋を見つけたと言っていたのです」
「あー、うんでも私金欠なんだよねえ」
「わたくしが払うといつも言ってるじゃないですか」
「それはだめ、そういうのよくないと思うし。だからさ今日は行くけど。クレープ食べたい」
そう呟けばくすっと笑われてしまう。
「明日からはお小遣いもらえるまで待ってくれる?」
そう言ったらノボリくんは私の手をきゅっと掴んでそのまま歩いていく。
「ノボリくん?」
「今日は一緒に図書館行きましょう、行きに自販でジュースでも買って」
「……うん」
わりとこの距離は好きだったりする。
H25.06.22

戻る


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -