There is no accounting for tastes.


『ミルクのIF設定でお相手インゴさんの続き』


何故かはわからないけれど、インゴさんと一緒にポケモンの世界に来てしまった私は数日間、執務室とインゴさんのお部屋を往復する生活をしていました。女連れ込んでるのはあまりよろしくないはずだけど仕方なくだ。机の下に潜り込んでやり過ごしていた。
「イーンゴー」
ばこーんと、開いたドアに私はばっと後ろを振り向いた。やっべ、隠れるの忘れてた。念じていたらカクレオンになれないか、とか考えてみる。仕方ないから笑って誤魔化す。
「……」
きっとエメットさんだと思われる人がこっちを見てきて、首を傾げた。
私を抱き寄せたままのインゴさんと私を交互に見る。
「え、インゴってそんな趣味あったわけ?」
ペドなの?とまあ、私にも失礼極まりないセリフを吐いたエメットさん。
「違いますよ」
「ふーん、あ、なんか可愛いね。なにこの子ジャパニーズ?」
「そうです」
「えっと、はじめまして」
伺うように頭を下げる。
じっと私を見てきたエメットさんがぺろっと唇を舐める。わあ、色っぽい。
「はじめまして、ふーん」
「あげませんよ、帰りなさい」
しげしげと私の顔を見たエメットさんを先に制すように声をかけたインゴさんの言葉に少し恥ずかしくなる。
「ボクのタイプじゃないから安心してよ」
しっしっとインゴさんに追い出されて、仕方ないなぁって感じでエメットさんが執務室を出て行った。
「ぬー、私はものですか」
「……まさか」
むすっと文句を言えばなぜかは知らないがよしよしと撫でられる。その手が私の顎の方まで回ってくる。
「ペット扱いじゃないですか!」
「Hum……チョロネコみたいで素敵ですよ」
「……インゴさんのバカ!」
思いっきり子ども扱い、いやポケモン扱いか!
お望み通り、猫のようにシャーっと威嚇してみれば、デコピンされた。
「わっつ!?」
「what、です」
「うー痛い」
額を押さえて抗議してもインゴさんはまったく反応しないまま、考える素振りを見せる。
「インゴさん?」
「しつけも必要ですか?」
「いりませんよ!」
「残念ですね」
まったく残念そうじゃないインゴさんが私をまあ相も変わらず、私の首のあたりに手を伸ばしてくる。おい。ついには舌を鳴らされてしまい、ますます機嫌が悪くなってしまう。
「しゃー」
「それでは可愛らしいだけですよ」
「……にゃん」
「来なさい」
そっと手を広げられ、ついつい身体が引き寄せられる。ちくしょう、なんて魔力だ
恐る恐る近づけば、がばっと抱きしめられてしまう。
「うがっ」
「にゃん、ではないのですか」
「うっさいです」
「可愛くないですねえ」
「さっきと言ってることが真逆です」
「おやおや」
インゴさんの腕の中にすっぽり収まると、不思議と眠くなってしまう。
「どうでしょうかなまえ」
「はい?」
「このままなまえが帰ることは見込めませんが、いっそワタクシと結婚なんていうのもよろしくありませんか」
「へ、は?」
インゴさんはまるで表情も変えず……少しだけ、顔赤い。私はそんな目の前の相手にきゅんときてしまう。
「それはいい考えですね、でももし私が帰ったらインゴさん、女房に逃げられたってことになりますよ」
恥ずかしいから少し茶化すようにそう言って誤魔化してみる。
「帰す気なんてありませんよ」
綺麗な瞳が私を見てくる。涼やかな色のそれは真っ直ぐ私を見ているから、私はどうしようもなさでいっぱいだ。
「好きにしたらいいじゃないですか」
私は大人しく力を抜いてインゴさんの方に身体を寄せれば、その分抱きしめ返してくれるものだから、私のハートは忙しい。
「Will you marry me?」
「へ?」
「分からないんですか」
「……えへ」
「まったく」
「ごめんなさい……で、なんて」
「……教えません」
拗ねてしまったらしいインゴさんにプライドもへったくれもなく、私は媚びまくってるからチョロネコじゃなくてヨーテリーって感じはするんですけど。
そういえば、インゴさんは呆れたようにため息をついた。
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リクエストありがとうございます、シオン様^^
30000hit踏んで頂き、ありがとうございましたー!
リクエストしてくださり、その上感想まで!
本当にありがとうございます、これからも朝食を宜しくしてくださるとうれしいです。


H25.05.26

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