小ネタ


ばたばたばたっと走ってくる音がしてわたくしは起き上がりました。
なまえさまの家ですので、なまえさまのご両親かもしれないと思い、その足音がこちらに近づくのにそっとドアから死角になる場所に移動しました。
そのドアから入ってきたのは普通になまえさまでした。
少し強ばった表情で思い出したようにベッドを見る仕草をするなまえさま。こっちに気付いてないのでしょうか。
「なまえさま」
わたくしが呼び掛けるとびくぅっ!!と肩を跳ね上がらせたなまえさまがわたくしを見ました。
「ノボリさん……驚かせないでください」
「はあ、申し訳ありません。そんなに慌ててどうされたのですか?」
「え、あ、えーっと」
誤魔化すように視線を逸らしながらわたくしの方へ近付くなまえさまがわたくしの手を掴みました。
「なまえさま?」
「あ、ああ、えっとですね」
「どうされましたか?」
「ちょっと……」
小さな声何かを言うなまえさま。
「すみません、聞こえなかったのですが」
「――っ!怖い話見ちゃったんです!!」
……顔をほんのり赤くしたなまえさまの手を握り返して、いつもとは違いわたくしなまえさまをベッドまでエスコートさせていただきます。
「の、ノボリさん?」
「わたくしが一緒にいますから大丈夫ですよ」
戻るまでですが。
それは言わないまま、わたくしはなまえさまの手を握ります。
「ノボリさんかっけー」
なまえさまが少し照れたようにそう呟いたのを聞いて、わたくしもつられて恥ずかしくなってきました。

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