早起きの鳥は虫をつかまえる


起きてみればノボリさんのお顔が私をすごく見ていた。すごくガン見していた。寝起きドッキリですか。
「おはようございます」
「……あー、おはようございます」
ぎょっとして驚いた私なんて無視して、挨拶してくるノボリさんに残念ながら寝起きの私の頭は追いついていかない。
ノボリさんの世界に来て、二日目にして初めてノボリさんの家で寝た。(初日はノボリさんに付き合ってノボリさんの執務室っぽいとこのソファーで寝た)
一緒に寝るのにすでに抵抗が無くなってしまい、これはアレだ倦怠期か……違うか。
そんなことを考えながら寝ていたら朝早く、ノボリさんのお仕事の時間に間に合うぐらいに早く起きてしまったらしい。それはまあ私の寝顔を覗き込んでいたノボリさんの肩越しに見えた時計でわかったのですが。
「なんで私の顔をそんなに覗き込んでるんですか……?」
怖いんですよ、影ができて。電気もつけてないし、しかめっ面だし、満足そうではあるけれど。
「なまえさまも知っていらっしゃる通り、わたくしは朝一人です」
「そりゃあ、クダリさんと一緒に寝るわけにもいきませんしね」
ああ、でも女の人と寝たり、カメラでもつけてみたら私のとこに来ているときのノボリさんがどういう風になってるのか分かったかも……。でも女の人はやめてほしいな、いや男もやめてほしいかな。
「……」
そんな「引くわー」みたいな目で見られても困る。さすがにこの年で一緒のベッドはないわーって私も思ってますよ。
「で、なんでそれが私の寝顔観察会の理由になるんですか、普通にやめてください」
「……わたくしはいつもなまえさまより先に寝てしまっていたので……ですから、なまえさまの寝顔も見たことがなかったのです」
「私ノボリさんより早く寝ても、ノボリさんも次の日大変だから寝なきゃだめだしノボリさん私の後ろに回ってしめつけ、じゃない……はい、うん」
「なまえさま?」
「いや、気にしないでください」
抱きしめる……あれ、口に出すといきなり恥ずかしくなってきた。くっそ、なんだこれ。
言葉に困った私にノボリさんが首をかしげるが、いい加減上から退けてくれないかな。
「……で、どうして?」
「ですから、一緒の世界にいるのが嬉しいのです」
そういえば、ノボリさんの寝顔を見るのは私はよくやっていたなあ。きれいだし面白いし、つい、出来心で。
ノボリさんの言葉に少しだけ救われる、気がした。
「……私も割と嬉しいですよ」
それを聞いた瞬間、私はぬいぐるみかと思うような勢いでノボリさんが締め付け攻撃をしてきたのだ。
この人は、ほんと……きつ、死ぬ、ギブ……。なにか、なにか大切な物が……ぐは。
「の、ノボ……くっ」
「も、申し訳ありません!!」
「もう……」
力が緩んだくせに離してくれないノボリさんに少しだけ抱き返せば、ノボリさんは少し笑ったような気がした。
これから先、私はノボリさんの笑顔を見れるようになるのか……なあ?
まあ、それも未来の私に任せよう。
「ノボリさん、お仕事やばくない?」
今の私はノボリさんが仕事に間に合うかどうかの方がよほど重要だからね。

――――――――

蒼月様初めまして、リクエストありがとうございます^^
楽しみだなんて///
後日談ということで直後の二人を好き勝手に書かせていただきました。
煮るなり焼くなりお好きにしてくださいorz



H25.03.20

戻る


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -