愛は愛の磁石である


※トリップ直後です。



「さあ、なまえさま行きましょう」
「ノボリさん、ちょっと待って仕事!!」
「大丈夫でございます、昼休みを少し長めに頂きましたから」
コートを脱いだノボリさんは私に手を差し伸べてくるため、その手をとって私は外へ出かけて行った。


「なまえさま!これなんていかがですか!」
いつもの倍ぐらいテンションの高いノボリさんが私に服を当ててくる。子供か。
「いや、ちょっと待ってくださいこれって」
「……なまえさまの服でございますよ?」
なにかおかしいですか?みたいな顔のノボリさん。
「確かにノボリさんが着るとは思えませんけどね!」
「ええ、さすがに入りませんし着たいとは思いませんね」
「思ってたら引きますね。じゃなくて、なんですかこの色のチョイス全部黒じゃないですか」
私を中二かなにかにしたいんですか。堕天使的な感じにしたいんですか、まっくろくろすけですか。
「……いけませんか?」
「……ああ、うーん、ダメって言うか均等に色を……というかそうじゃなくて、なんで私の服買うことに!?」
「なまえさまは帰れないようですし」
「そう、なんですけど」
確かに私はあれから帰れてないしずっと来た時の服ってわけにもいかないけど。
「じゃあなんでこんなに大量に……」
「わたくしが買いたいからでございます」
こう言われてしまうどうしようもないんだけど。
「お、ねがいします」
「ええ、任せてください」
ですから、黒色でいいですね、言い放つノボリさん。最近容赦も遠慮もなくなりすぎじゃないですか!?



私はさんざんノボリさんにライモンシティを連れまわされたというか着せ替え人形にされてしまい、もう休みたい気持ちいっぱいだ。
小一時間ほどのはずなのに既に私のHPは赤ゲージになっている。ぴこんぴこんってなってる気がする。
「なまえさま、最後に観覧車なんていかがでしょう」
夜景は見えませんけど。そう言って私をジムの前を通って観覧車へ連れて行かれる。
ああ、なんだか私の世界でノボリさんと散歩した時はまるで逆だな、なんて思いながら足のリーチのせいか小走りでノボリさんについていく。
ノボリさんがチケットを買ったのか、そのまますぐに乗り込む。
「ここがあの」
夏の……悪夢のあれか。ここで男主人公がアーッてなったり、ツンデレナツキさんに会えたり、幼女やらOLさん達のあれか……。私は2のナツミさんに困ってしまった、というかナツキさん出せよおい!
「あ、そうだノボリさん!」
「なんですか?」
「今って季節的にはいつなんですか?」
服を見た感じだと夏っぽいけど。
「夏の終わりでしょうか」
その言葉に以上に反応した私は、窓に張り付いて下を見る。ヒロナツさんは、ナツキさんは、ナツミさんか、エナツさんか!!……見えない、それにこれは……人がいない。
「な、ナツキさんとヒロナツさんは……く」
打ちひしがれる私。
「なまえさま」
ノボリさんの絶対零度が炸裂……する、絶対する。後ろがこわい。振り向きたくない。
「その方々はどちらさまですか」
あ、しかも私じゃない、見知らぬサラリーマンとエリトレが私のせいで絶対零度の餌食になる。ごめんなさい、すみません。
意を決して振り向けば、ノボリさんがじっとこっちを見ている。
「いや、こ、ここらへんにいるらしいから、つい」
「そうですか」
「う、うん」
がちがちになった私の方に立ち上がって隣に座るノボリさん。
うわ、ちょっと揺れる。
「なまえさま、わたくしではお嫌ですか」
ノボリさんが伏し目がちに顔をゆがめていて……私はどうしようもなく手を伸ばす。
「んなわけ、ないじゃん」
「良かった」
ぎゅーとノボリさんの手を握る。嫌だったら、こんなとこまで来てないよね……ははは。
「どっちか高所恐怖症だったら面白かったかもね」
私としてはナツキさんみたいになるノボリさんを期待したかったんだけど……。
すでにてっぺんは過ぎてしまったらしい。徐々に下降していく景色を見る。
ノボリさんの手を握る力を思わずに強くしてしまった。

―――――――――

初めまして^^
しゃせも様、リクエストありがとうございました!
ミルクやバレンタイン・ホワイトデー企画感想ありがとうございます!
私も朝起きる度に世界が変わってないかって思っておりますよ(゜▽゜*)
おや、何を言っていらっしゃるのか。すでに判子は押してありますよ(キリッ。
つ【婚姻届】
番外編、後日談とのことでしたので自分の趣味にひた走っちゃって……すみません!!



H25.03.25

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