番外編・待つ者はどんなことでも叶えられる


時間軸は本編から結構後。



「なまえさま」
休日の昼下がり、ソファーで重なりあうようになっている私達。字面的はいろっぽいことの一つや二つあってもおかしくないはずだけど。ノボリさんが下ね。私が項垂れかかってるわけだけど。
「愛しております」
「うん私も」
「なまえさま?」
あ、ちょっと棒読みすぎたかなあ。
今ヤンデレにシフトされちゃうと困ってしまう。逃げるどころか足で捕獲されてるのに。
これが巷で聞いただいしゅきホールド、ではないな。
仕方ない。
「今ちょっとノボリさんの頭皮の隅々まで見てるから話しかけないでくれる」
間違ってはない、何故なら私の視界にはノボリさんの綺麗なお髪しかないわけだから隅々とは言わないけどがっつり観察してる。
「なまえさま……」
照れるな、おかしいことに気づいてくれ。
勿論、おかしいなんて塵にも思わず、私の首にキスを落とすノボリさん。ああ、見えないけど色っぽいんだろうに。
「ノボリさんってばいつか指切りとかしてきそう」
怖いなあ。わたくしの……小指もらってくださいましと照れて渡されてもおかしくないよ、多分?
「指切り?」
「あれ知らない?」
「ええ」
「イッシュにはこんなのないのかもね」
子供用ゲームだし、グログロみたいなのは規制でもかかってるのかな。いやそれはないか。カントーぐらいにはあるかもね、エンジュとか。
「んじゃあ知らないままでいてくれると心底嬉しいなあ」
「なんでですか」
少し不服そうなノボリさんにあははと笑う。
「小指が届いたら嫌だからねー」
「それでわかってしまいましたけど」
「そりゃそうだね、ノボリさんは頭いいから」
指切りと小指が届く、ぐらいでわかっちゃうよね。
「じゃ、私ノボリさんに引っ付いてる指しか興味ないから、ただのタンパク質に興味ない」
手探りでノボリさんの手を探す。
みーつけた、ぎゅっと握れば恋人繋ぎにされてしまう。
「じゃあ、なんて言わないでくださいまし」
ノボリさんが私を少し押して体を起こされる。ぽかーんと気を抜いていたらノボリさんがその半開きの口に小指を突っ込んだ。
「うん、これして欲しければ切らないことだね」
小指が入ってるから少し舌足らずになってしまったけど通じたでしょう。
「片手があれば十分でございます」
「いやいや私的には両手でも足りないから」
ちゅと音を立てれば嬉しそうなノボリさん。ついでにいうと、昼の心地好い暖かさとノボリさんの体温で微睡んでいた私は自分の口が何して何を言ってるとか考えてないから、どうしようもない。まあ、大丈夫でしょ。
「そうだ、エンジュへ行こう」
「だから文脈がわかりませんよ」
ああ、でもわたくしも行きますから。なんてことを言ってるけど多分ノボリさんは忙しいから無理だけどね。
まあ頑張って休みをもぎ取ってきてもらえることを願っておこうと思う。

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果報は寝て待て。
H25.03.18

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