俺の気持ちに便乗するように、ぽつぽつと小雨が降って俺たちの体を濡らす。
段々と強くなっていく雨に打たれながらも微動だにしなかった。
ただお互いの体温だけを感じる。人通りが少ないこんな道でも誰かに見られる
かもしれないのに。――そんなの建前だけの感情だけれど。

気づけば俺は土方の背中に手を回そうとしていた。
けれど少し触れた途端、間を置いて弾くように土方は俺を引きはがした。

「……悪い」
「何に対して謝ってんでさぁ」

再び訪れる静寂。ああ、この人は本当に苛つく。

「黙んないで下せぇよ。俺が馬鹿みたいじゃねぇか」

手のひらに爪が食い込むほど拳を握る。
焦燥感が押し寄せてきて思わず舌打ちをしてしまう。
それはきっと土方と俺の罪悪感の根源が同じだからであって。
俺越しに誰を見ているのか、言われなくても感じていた。

「謝るくらいなら笑うなり怒るなりして、こんなことしなければ
良かったのに」

なんて面倒くさい。自分自身にも呆れるし土方にも当然呆れる。
いくら頑張ったところで俺は前へ進めやしないし土方は後ろに下がる一方だ。
心の中心に姉上がいる限り。お互いの関係が変わることはない。

「もう……良いです。さっさと終わらせて帰りましょう」

ずぶ濡れのスカーフを外して俺は足早に歩きだす。
付いて来ないこないことなど分かっていた。それでいい。
もう今は土方と一緒にいて冷静に会話を出来ないほど余裕がなくなっていた。
――だから一刻も早く、傍を離れたかったのだ。






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