「っ……高杉を捕らえろ!!」

土方の一言で、固まっていた隊士達が息を吹き替えし、怒声をあげて高杉に向かっていく。しかし高杉は戦おうとはせず、涼しい顔でたっていた。
──瞬間、けたたましい銃声が響き渡る。

「晋助様ぁ!船の用意が出来たっス!逃げましょうっ」

「…あぁ。またな、隊長さんよ」

「待てっ……」

ふらりと舞う様に逃げる高杉等を捕らえようと向かうが、銃の攻撃の所為で迂闊に近付け無い。これ以上負傷者を増やさない為に、土方は止む終えず諦めた。

「っぐ……ゲホっ」

逃げる奴等を追えもせず、俺は蹲って胸の痛みに堪えていた。

 心配そうな顔で土方は俺の顔を覗き込む。

「総悟っ…大丈夫か!?」

高杉一派にはどうやら逃げられたらしく、皆無念そうに退却してくる。命令して、一斉に隊士が散った時でさえ、この人は俺の側を離れ様とはしなかった。

「アンタ、こそ」

締め付けられ、出にくい声をなんとか発して俺は土方の背中の傷に触れた。
土方は一瞬声を堪え、首を縦に振った。

「俺は、平気だ。傷は浅い」

「ゲホッ……つ、でも、はやく戻りやしょう、ッ………」

早く、治療しないと。この人の背中に刀傷など残したくはない。

それも、俺の所為で。

「──喋るな」

一言喋る事に、段々と喉が熱くなる。
何か詰まっているようで、上手く喋れなかった。いったいどうしてしまったんだろうか。

「…返り血でも飲んじゃった…、の、かも……ッ」


──これだけ
奪ったのだから。


返り血はまるで俺を戒めているかの様。──


「総悟!?」

ぐらりと視界が歪み、自分の身体を保つことさえ出来無くなる。

肩に熱を感じ、嗚呼土方に支えられているのだと理解した次の瞬間には、完璧に視界はブラックアウト。


最後に唇に温かい感触を覚えて、俺は意識を手放した。


 





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