「一番隊から三番隊は正面突破。四番隊から七番隊はここの道を包囲、残りは裏口から突入するぞ」
地図に指をなぞらせ、大まかな作戦を説明していく。
始めの作戦が命とり。誤算があれば多くの人が死ぬ。そんな責任を背負っている、この人は。勿論、近藤さんだってそうだ。
いざという時に誰より冷静になり、確実な判断を下す。俺や土方には出来ない仕事だ。
「…総悟、聞いてるか?」
──俺に出来るのは。
「……アァ、聞いてますぜ」
菊一文字に軽く触れ、静かに眼を綴じる。
息を大きく吸って、心の準備をした。
──出来るのは、多く斬ることくらい。
アンタや近藤さんがなるべく赤黒い液体で心を汚さない様に。
分かってんでさ俺。
人を斬った後、アンタが何も言わず自分の掌見つめてうなだれてること。
鬼の副長なんぞ
よく言ったもんだ。
本当は誰よりも。
誰よりも……
傷ついてるのに。
罪の意識で
潰れそうになって
いるのに。
「──作戦頭に叩き込んどけ。明日の戦闘に心掛けておくように!以上、解散」
だから、
俺が。
「オラ、準備するぞ総悟」
「へいへい、」
俺がぜんぶ、
代わってやるから───。