妖刀に心を喰われ、何度もへたれたオタクになったと思えば。今更土方のヘタレ具合にイライラすることもない…はず。

「……何ですがねぃ」
「沖田君、小豆パフェもう一個頼んでいい?」



さながらラブ恐怖症






 銀時は朝早くから猛烈なインターホンの嵐によって起こされた。神楽は全く起きるそぶりを見せなかったが、さすがに銀時には効いた。
ぼやけた頭をなんとか起動させ、玄関を開ければそこには楽しそうにインターホンを連打する沖田がいたのだった。

「で、結局はどこまで言ったの?」

屯所、万事屋では話せないと言うことで二人はファミレスに移動した。
そして今にいたる。
しかしいざそういう相談をするとなると、何だか気が引けてきて沖田は口を一向に開こうとしない。

「いやそれは…」
「沖田君さあ、お前、自分の頭の中だけで話されても分かんねえって」
「そりゃそうですね」
「言いづらいのもわかっけど。一応これ相談受けてる訳だから」
「まあ、旦那にパフェ奢るだけのために来た訳じゃありやせんしね」
「食って言いって言ったじゃん!」
「まあ、そんなことより」
「何お前マジで」
「糖分とってんですからイラッとしないで下せぇ」
「いやイラッとするよりムラッとした」

本題に入ろうとして恥ずかしそうに俯いて頬を染めた仕草に銀時はえらくムラムラした。そんな可愛い仕草を自覚なしでしてる所にもさらにムラムラした。
そう説明すると沖田は若干引いたが、最近の土方に比べれば全然気持ち悪くないと言う。

「旦那みたくはっきり言われんのもなんか引きますけど、ムラムラしてるくせに押さえてるのがなんかキモいんでさぁ」「ムッツリってこと?」
「……なんか途中まで手ぇ出してハァハァしてる状態で放棄するんですよ」
「手、出しはすんだな」
「オープンなのかムッツリなのか……」
「真ん中とってオッツリとかじゃね」

はははと乾いた笑いをする銀時に沖田は真面目な話なんですけど、と睨みつけた。

「それにちょくちょくとトッシーに変わるからそれがまた嫌なんです、トモエちゃんハァハァとか言われた時は容赦なくぶっ飛ばしてやりやした」
「でもそれは昔の話だろ?」

例の件以来、トッシーは無事成仏し土方の中からいなくなった。しかし何故か前にもまして沖田に対してのヘタレ度が増しているのだ。
必ず途中でやめて、最後までしない土方に沖田は堪らなくイライラしていた。

「トッシー撲滅の為にめんどくさいけど色々協力してやったのに……」
「――大切何じゃねえの?」
「は?」
「こう…何かを大切にするっていう想いがトッシーのせいで強く根付いたんじゃね?」

大切だからこそ傷つけてはいけない。傷ついて欲しくない。
そんな想いから生まれた愛することへの恐怖心。

自分の手で汚すことが何より嫌なのかもしれない。

「ま、一番いいのは今すぐ帰って直接本人に問い詰めることだと思うけどな」

銀時はそう言ってゆっくり席を立ち、ご馳走さんと、軽く手を振りながら去っていった。
相談料はパフェ二杯。
こんなもんでこんな相談乗って貰えるなら、安いなと思いつつとりあえず帰ったら土方に抱き着いて驚かせてやろうと沖田は思ったのだった。








END.
ギャグ…です。中盤あたり笑ってやって下さい。


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