教室で窓を眺めながら臨也は思う。散々追いかけっこをしたあとに気づいたが、なんだか今日は静雄の動きのキレが悪い。普段より飛んでくる物は少ないし臨也の攻撃を何度も喰らっている。

「……つまんない」

もしかして途中で拾い食いでもして腹を壊したかな?犬みたいに。と、考えていたらガラリと教室のドアが開いた。
顔を覗かせたのはまぎれもなく新羅だが、なにか焦っているような表情をしている。

臨也を見つけ早足で駆け寄ると「君、まさか薬とか静雄に盛ったりした?」と失礼窮まりない言葉を口にした。

「おい、普段から俺がそういうことしてる風に言わないでくれる?」
「で、してないよね?」
「誰が。そんなことしても実際通用するかどうか……」
「私はしないと思うけど」

二人は引き攣りながらアハハと乾いた笑いを零した。
今朝に宇宙人レベルじゃないと殺せないと公言した臨也に今更薬でなんとかしようという考えは頭にない。

「それで?なんでそんなこと聞くの?」
「いやそれがさ……倒れちゃったんだよね」

一瞬。二人の会話が聞こえていた周囲と二人の間の空気が冷えるように感じた。
耳を疑う言葉に思わずもう一度聞き返す。

「それで?なんでそんなこと聞くの?」
「落ち着いて臨也!同じこと二回も言わなくていいから!」
「だって……意味不明」

静雄が倒れるなんて相当だ。いったいなにがあったのか。問い詰めればムカつくくらい楽しそうに新羅は口を開いた。

「聞いた話だよ!廊下を歩いてたらいきなりフラフラしだして倒れちゃったらしい。それで偶然近くにいた女子に保健室に連れ添ってもらってたんだってさ!」

偶然 近くに いた 女子 。
このワードで臨也はすぐさまラブレターの差出人だと気づく。目の前の男が妙に楽しそうにニヤニヤしてるのはそのせいだろう。

「新羅…ウザい」
「心外だ!他の誰よりも君に言われたくない!!あっ痛!」

パンッと後頭部を叩いてやる。ナイフで刺さなかっただけ感謝して欲しい。

――別に気になる訳じゃない。気になる訳じゃないけど、保健室に行ってみよう。弱ってるところを笑いに行くだけで、心配なんかしていない。

そう言ったらまた楽しそうに笑われたので、もう一発新羅の頭をなるべく強く叩いてやった。





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