電話を切り、布団に倒れるように寝る。
眠気はあるがもちろん寝れる筈がなく。


沖田の言葉が頭の中で何度もリフレインしていた。

『大嫌いでさァ!』

『……アンタなんか好きじゃありやせん』


――そう、自分は嫌われていたのだと痛感した。
今までの言動や行為は彼にとって只のお遊びだったのか。
そう考えたら胸が酷く痛んだ。


(夢中になっていたのは俺だけだったのか…無様だな)


ほんとは今直ぐにでも抱き締め、俺は好きだと叫びたい衝動を抑える。
そんなことをしても嫌われているのなら全てが無意味だと思った。
世界が急にモノクロになった感じがした。


寝れる訳ないという想いとは裏腹に疲れてる身体は正直で。
少し眼を閉じたらあっけなく土方は夢の中へと旅立ってしまった。



何もない空間をただ彷徨っていると目の前に沖田が現われた。


『総悟っ……!』


思わず手を伸ばし、つかまえようとしたが泡のように消えてしまった。


『…抱ければ誰でもいいんですか?』


違う方向からまた沖田が現われた。
現実でも言われた言葉は言われ、胸を抉られる気分だった。


『そんなことねえっ……俺はお前しか愛してない』


『――信じられない』

『何でだよっ…』


ゆらりと揺らめき、また沖田は消え声だけが鳴り響く。


『だってアンタは誰にでも優しいでしょう。結局みんな平等に大事で俺はその中の只の一部なんだ』


『違うっ……違う総悟っ!!総悟っ!!』


必死に声を荒げて呼び掛けても沖田の姿は現われることはなく。


先程掴んで泡のように消えた感覚が虚しく手の平に残っていた。






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