――自分らしくない。
まさかこんな行動に出るなんて。
銀八は保健室をでていった後、独り頭を抱え、うんうん唸っていた。
欲しいものは何がなんでも手に入れる主義だったのに。それも計画的に……。
じっくりゆっくり、銀八は沖田を我が物にする筈だった。
――が、何処かで歯車がずれたのだ。
多分、あの時に。
あの時、もう少し理性を保っていればこんなことにならなかったのかもしれない。
土方に"怖い?"と聞いた銀八だったが、それは自分も同じだった。
卑怯な手でもいいから、沖田を自分に縫い付けておきたかったのだ。
必死にもがいて……。
――そんな自分を格好悪いと思った。
はたまたそれは土方のせいなのか。
沖田に好かれてる土方が嫌いだった筈、恨めしかった筈。
だが……先刻の土方の弱音を聞いたらどうでもよくなってしまった。
自分の弱さを素直にさらけ出す土方を格好いいとさえ思った。
自分のように、本当の気持ちを隠すよりずっと……。
「あ〜あ……」
――勝てねぇよ、多分、一生な。
銀八は、喉の奥で、ククッと笑った。