一時間目の授業が終り、土方は急いで沖田を探しに向かった。
が、しかし。
何処を探しても沖田の姿は見当たらない。
走り回っていると、ふと、保健室が眼に入った。そういえばまだ、あそこを調べていないなと、保健室のドアを開けた。
(アイツよく、ミツバ先生と話してるし…)
きょろりと辺りを見渡したが、沖田も、ミツバもいなく。
しん……と静まり返っている此処は、何処か違う空間にいるようだった。
「……ん?」
よく見ると、カーテンをひかれたベッドの中から、もくもくと灰色の煙が上がっている。
「……誰?」
そう問うと、カーテンをひいて出てきたのは銀時だった。
「土方じゃん……」
「…銀八じゃん、お前ここにいたんだ。朝のSHLすっぽかしやがって」
「あー…最近運動不足だったから運動してたんだよね」
「保健室でする運動て何だコラ。捕まってしまえくそ教師」
「ヒドーい、先生のいたいけなハートにヒビが入ったらどうしてくれんだよ」
「うぜぇ。第一此処で煙草すうな」
本当にこんな奴が先生でいいのかとつくづく土方は思った。
国語教師のくせに、国語の時間使って皆にべっ甲飴作らせたりして
るし。
わざわざバーナーとか鍋持ってきて。
そして数十個作ったうちの半分は自分だけで食べたりしてるのだ。
とことん土方は銀八に呆れていた。
「バッカ、おめーこれは煙草じゃねえよ。あれだ、ほら、煙のでるレロレロキャンディーだ」
「長ェよ。……つかさ、銀八、総悟のこと見なかったか?」
今までヤル気の無さそうにしていた表情が、ピクリと強張る。
それに土方は違和感を覚えた。
「沖田くん……?あぁ、さっきまで此処にいたよ」
「!……何処に行ったか分かんねぇか?」
クスリと銀八は土方をせせら笑った。
「何、土方、沖田の事探してんの?…随分必死だね」
そう指摘され、不意に土方は赤くなる。
(だって……アイツ、何か変だったから)
「……っせ。知らねーんならいいんだ、じゃあな」
ぷい、と振り返り、土方がドアを開けた瞬間、銀八は強くハッキリと、
「俺、沖田の事抱いたけど」
と言った。