あたしのぺんぺん草

時折険しい顔をした彼をみる。
だが彼は気丈に振る舞う。尋ねても「大丈夫」の一点張り。

私に心配をかけまいとしているんだ、と、思ってる。

「沙霧ちゃん」
呼ばれて意識を戻す。どうしたの、と聞かれ、何でもない、と返す。

気になることは、たくさんある。彼は私を子供扱いし、教えてはくれない。一応彼とお付き合いしている訳だが、意外と彼のことを知らない。
彼は25歳、私は今年17歳。
…そりゃ子供扱いもするか。考えてみれば年齢差大きいな。いやいや別に問題ない、だろ、多分。じいちゃんも別に気にしてなかったし。
そんなことを思いながら、彼を探す。台所からいい香りがする。

「悩む時期なんだねえ、存分に悩め〜」
「高校生らしいでしょ、よく考えることにするよ」

君の事で悩んでるだなんてこれっぽっちも思ってないんだろう。彼は紅茶をいれながら笑う。
私はその横顔が好きだ。そういえば初めて見た時も思ったな。呼び込みしてる彼が、可愛かった。表情で動く、目元のほくろとか。

「紅茶は?」
「砂糖とミルク」
「じゃあ俺もそーしよ」

鼻歌を歌いながら、2人分の紅茶を淹れる。角砂糖を一個、ミルクも一個。


「沙霧ちゃんは唐突だなあ」

噛み付いてもそういって笑ってくれる。許してくれる。少しでも私のことを考えてて欲しくて。単なる私のワガママなのだけど。

私も受け入れられるよ。君のこと。
いつか私にも打ち明けてくれる?

君のその、胸の内を。



彼の全てを知りたくて、彼を見失いたくなくて
宮下さんちの薺くん、お借りしました



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