終着駅はきっと眩い程の光の中だ

今日も私以外の班員たちは任務遂行のために外に出ていた。
私といえば仕事らしい仕事をもらうことがほとんどない。主には皆が使った死器の修理を化学班に依頼し、物を運ぶ。そんなちいさいのにできるのかと聞かれ(そもそもちいさいといわれることは不本意だと思っているが)、それくらいはさせてほしいと言って、私がもらった仕事ともいえない仕事だ。
足を引っ張らないようについていくことが精いっぱい。外の仕事はゴーサインが出るから行くだけになる。14歳という年齢がいけないのだろうか。私は戦闘班なのになんて使えないんだと辟易する。ああ皆みたいに大人で格好良かったらなあなんて考えることは多い。そう思いながら自分の死器を見ると、お前はまだまだだなと言われているような気がした。ただの太刀のくせに。
気のせいであるはずなのに、なんだか腹が立った。
技術はこっそりあげているのだが、私は体力があまりない。今やることもないし、ついていくためにも、それを克服することから始めようかと一人ごちる。しかし私がそんなことしていたら「そんなことするのかお前」と誰かに笑われそうだ。それはいやだな。隠しておきたい。
…皆はなかなか帰ってこないんだし。いない間にやっておこう。特訓でもすれば少しは戦闘班として役に立てるだろうか。寿命が縮むとしても、彼らだけに任せるのは嫌だ。
なにより、私はあの輪の中に入りたい。

「おい瞑、何してる」
ソファで眠っていた私を叩き起こす。班長に叩かれる痛みに眉間に皺をよせながら目をあける。
「ん…ああ班長…」
どうやら私は眠っていたらしい。気づいたら寝ていたなんてことは日常茶飯事だが、先ほどの決意はどこへやらだ。成長しない。
「ほら、お前の仕事だ早く行け」
そういって班長は死器の入った箱を私の上に無造作に置く。
「うぐっ…腹に放らないでくださ…」
「お前は寝るか喋るしかできないのか」
「ひどいです!雑用係として大活躍してるじゃないですか!」
あーもううるさい早く行けと追い払われ、しぶしぶ化学班へ行く用意をする。
そう、私の唯一の仕事。
「んじゃいってきまーす」
「はいはい、いってこーい」
「うわっちょっ」
いつの間にか背後にまわっていたぴょん吉こと兎田さんに(物理的に)背中を押され、私は部屋をでた。

私は腕に抱えた段ボールの中に入った死器を見る。今日もお疲れ様でした。と小声で言う。私の死器もそのうち、この中に入ることがあるんだろうか。
窓から外を見ると空は今日も変わらず青く、明るかった。
目的地の扉を足でノックして開けてもらう。

「すいませーん、これの点検と修理お願いします」

明日は皆が帰ってくるまで、力をつけよう。
戦闘班だって言えるように頑張ろう。
そして皆が帰ってきたら、皆にお茶でも淹れてあげよう。
お疲れ様って労いの気持ちも込めて。

嗚呼、早く追いつきたいのにまだ、背中が遠い。





瞑は警察の人達を尊敬している
だからこそ役に立てない自分が悔しくて、仕方ない


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