BAR oasisへようこそ

ここに来るのも何かの縁さ。寒かっただろう、はやくお入り。…ほら、突っ立ってないで。カウンター座りな。

…ふふ、魔女なんて呼ばれていたことがあったから、魔女みたいな話し方をしてみただけよ、みーんな似合わないって言うの。あ、笑ったな?
うん、まあいいや。とりあえずご飯は食べたのいつ?…あら、じゃあよほどお腹空いてるとみた。何がいいかな、とりあえず作り置きのあれを…ん?お金がない?そりゃここに来るくらいだから、察しがついてる。お金は後で払ってもらうとして、今は気にしないで食べなさい。野垂れ死は嫌でしょ、私もここで死人出すのは嫌だからお互い様。とりあえず腹を満たそ、ね。話はそれからよ。はい、どうぞ、本日のメニューは具沢山のカレーでーす。

…いい食べっぷりだなあ。作った甲斐あるよ。おいしい?よかった。ありがとう。うちの子どもたちもね、よく食べるから少ししかなかったけど。あ、スープもあるからどうぞ。…あー、寒い日にはスープが身に染みるわー。
…ん?ああ、自分の本当の子どもじゃないけどね。いっぱいいるのよ。夜中だから一応部屋に戻したけど、どうせ起きてるわ。
…噂を聞いた?どんな?…うん、うん、やっぱりいつものやつかあ。私としては常連さんが欲しいんだけどな〜なんてね。よくお願いされるから。気にすることはない、っていうかここまで来て遠慮?あはは!
…さて、真面目な話をすればね、意志を持って生きるのはあなた自身。その選択を自分でするため、今の生命活動を維持するための環境をつくる手助けはしてあげる。でも私ができるのはそれだけだよ。泊まるなら泊まるだけの報酬をあなたにも求めるし。さすがに与えるだけはこちらとしても厳しい。これだけのことをしてあげてるけどね、実は火の車なの。バーって書いてあるのに子どもが寄り付きやすくてね。隠れ蓑になれていいのかもしれないけど複雑だなあ、結局匿っているけど…あ、話が逸れたわ。

…それで?あなたはどうする?今の食事の代金を置いていくか、それともここで態勢を整えて、将来の自分に託して後払いか。今選びなさい。




…ふふ、今日からあなたはわたしの家族。いいね?
BAR oasisへ、ようこそ!

(そして、この場所で過ごす時間が、あなたの心のオアシスとなれますように。)


訪れる人々を救いたい
非力で傷つきやすい魔女の最後の悪足掻き


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