暗殺 #怯えるけもの




「カルマ?どうしたの、…いや、なら、無理強いはしない。」
「あぇ?あー…えっとーー…うん、渚には、言っておかないとね。」
いろいろあって、本気でぶつかった相手に、自然と惹かれあって付き合うこととなった。
殺せんせーに泣きついたことはあれから一度もないが、彼にとっての平穏を取り戻しつつあった。
そんな日常が幾日か続いて、ついに渚と「そういう」雰囲気に成った。経験もあったし自ら受け身を買って出てみたものの、そのせいかこびり付いた汚れを落としたはずなのに、「あのこと」がカビのように繁殖していく。
それを必死に振り払おうとしているうち、不審に思ったのか渚が心配そうな目をしながら、無慈悲にも思い切り引きずり出してきた。
でも、言わなければ、と。でも、でも、言ったら、引かれてしまうかもしれない。
「淫乱」と言われ、性器みたいになってしまった排泄器官に、そう、汚いところに、渚が入ってくる。それを想像しては、ゾッとし、不安感に襲われて。
淫乱なんて罵倒されて、痛いことにも快感を拾ってしまうまで落ちてから捨てられた。とてもじゃないが綺麗とは言い難い。
渚の無垢さがあまりにも眩しくて余計に涙が出そうなほど、悔しい。
結果はどうあれ、当時は完全にあいつの都合のいい玩具であることを受け入れていたという事実を渚が知ったら。
(引かれる。別れを切り出されるかも。きらわれちゃう。それに、殺しちゃうかも、)
今の渚ならば簡単に仕留めてしまうだろうし、そうしかねない。
歯切れ悪く話を切り出したカルマに、渚は異様な空気を感じ取ったのか、ゴクリと唾を飲み姿勢を正した。表情も硬くなっている。
(いい、づらい…)
「あ、のね、えっと…怒らないで、ね…あ、と、おねがい、…嫌わ、ないで…っ」
グッと震えを何とか押し込みながら、一句一句それはもう辛そうに吐き出していくカルマの手を、渚はぎゅっと握っていてくれて、真剣に聞いてくれている。
ずいっと渚の顔が近づいてきて、その目の真剣さと、まっすぐさに、やっぱり胸が痛くなった。
「っ、お、れ…あの、ヒトに、ね、っう、ぁ、のヒト、と、ずっと、シテた、イケナイこと…お、れぇ、いん、らんっなんだって、だからっ…おれのからだ、きっ、きれいじゃない、…けどっ、引かな、で…はなれてかないで、きらいっ、にっ、ならなぃ、っで、」
悲痛な声で、「お願い」とか細く言いながら、カルマは渚にぎゅっと抱きついた。
今まで気づかなかったけれど、大人びているといってもカルマは渚と同じ、中学生だと、気づいた。
弱さは、見せないだけ。体だって、まだ、成熟はしていない。
カッと頭に血が上った。そんな、子供になんてことを、と。
「…カルマ」
ようやく発せれた声があまりに低くて、カルマが「ひっ、」と慄くくらいには、怒りがあらわになっていると自分でも思った。
「なぎひゃ、な、なに…ぁ、ふぁ、ん…ひゃ、ンンン………」
ぢゅ、ぢゅう、と渚がカルマの舌を吸い、激しく攻めたてる。ビッチ先生仕込みのその技に、カルマは視界も思考もぼやけるほど翻弄され、なにも考えられなくなる。
…怒りを表に出さぬようにと思うのに、カルマはなにも悪くないのに、むしろ被害者なのに、渚は自分の気持ちをどうしたって抑えられなかった。
「っソイツ、今なにしてんの、カルマ」
ひどくする気なんてなかったのに。ダメだ、こんなの、ダメだけど。
「ンァっ!ゃ、なぎっ、さァ…ため、ダメっそこ、やら、あ゛っあ
キュッと乳首をつまみ上げながら、申し訳程度に下を擦ってやればカルマは呆気なく果てた。
「なぎひゃ、ぁ、ひどく、しなっで、おこらな、で……っきらわ、ないれぇ…」
あまりに強い攻めにカルマは渚が自身に怒っているのだと、ポロポロ泣きながら許しを請うた。
それでも快感に流されかけたような浮ついた声を漏らすカルマに謝りたいのに、その声がまた渚の心をじくじくと突いて、うまくいかない。
「カルマ、カル、マッ、僕がこれから塗り替えるからっ、すっごく殺してやりたいけど、殺らない、そんなことしても、君は泣いちゃうからっ…でも、わかってっ、怒ってない、嫌ったりしない!今は僕を見て、僕だけをっ、見て、絶対、ぜっっったい幸せにするっ、忘れさせるっ!カルマ、好きっ」
ずっと苦しんできたであろうこの、愛しくて仕方ない彼を、守らなきゃと思った。今までより、一層愛おしくてたまらなくなった。
普段は頼り甲斐があって、強かで…反面脆く傷つきやすいカルマが素直にその脆さを渚に見せてくれたこと。
対等になれた、と改めて思った。
いじらしくも嫌わないでと泣いていたことに、こっちまで泣きそうになった。
そんなことをしたクズを葬ってやりたい。確かに今もその気持ちは消えてはいないし、きっと一生消えない。
けど、渚が手を汚すようなことをカルマは望んでいないことは、誰が見ても明らかだった。そんなことをしたら、カルマは余計に泣いて、心を誰にも開かなくなるかもしれない。
「カルマ、嫌ったりしないしこれからずっと愛するから。さっきも言ったけど、幸せにする。…愛してる、から」
真っ赤な顔だけれど意思の強い瞳が、揺らぐことはないと言っていた。
「な、ぎさ………」
…いつからこんなに強くなったのだろう。
対等どころじゃあ、ない。
己を買いかぶり、渚を甘く見すぎていたし、渚も何も言わなかった。結果こんなにも無様な姿を晒すこととなった。
カルマが見せた弱さを、渚はどっしりとした構えで軽く受け止めたのだ。
(あー………、ほんと、かなわないや)
ふ、と表情を緩めたカルマにホッとしたところで、
「なぎさ、これからもよろしく、ね…?あ、あの、おれも、あ、あ、い、して、る…んむっ」
ちゅう、とカルマが渚に唇を押し付けた。
これには渚もたまらなくなって、弄ってジンジンと腫れる乳首に吸い付いた。それも思い切り。
「な、?!な、ぎさっ、や、や、だぁ」
レロリと舐め上げたり、歯を立ててみたり、かぶりを振るカルマが制止を促しても、日がついた渚が止まれるはずがなかった。
「んっ、んむぅ、ンァ、あーーー…あっあっ」
と垂れた先走りで濡れそぼった後孔に、少々荒っぽく指を突き立てられたカルマの体が大げさに跳ねた。身体を弓なりにして引きつった声を上げながら渚にしがみついて喘いでいる。
「な、ぎひゃぁ…?ぁ、あ、な、に…」
突然黙り込んだ渚が紅潮し切った顔で、ギッとカルマを睨みつけ、口を開いた。
「カルマ、それ、ダメ、理性トぶから、言っちゃダメ。僕ホント、我慢できなくなる。酷いことしちゃうかもしれないからっ」
「あ…、ふっ、渚ぁ…イイよ、しないでよ我慢なんて、しちゃダメ。ゆるさなぁい。は、は、っだぁーいすき。ーーーーーッッッ!!かはぁっ」
いたずらっ気のあるいつもの笑顔で、煽るようなことを言うもんだから、渚も意地悪したくなる。
2本の指を中で思い切り広げて、十二分に熟れた媚肉がひくついているのを確認してから、思いっきり穿ってやった。
あまりに性急な動きにカルマの身体は、ビク、ビクンと震えて息を詰まらせた。
中が今までにないくらい締まって、気づいたらお互いの腹にはカルマが今しがた吐き出した精液がぬめぬめと生々しく付着していた。
持っていかれそうなくらい締め付けられて、正直きつすぎる。
ぐぅ、と快感に耐えるように動かずにいると、下でカルマが口をパクパク動かしながら断続的に震えているのが目に入った。
「カル、マ?あえ、ちょっ、カルマ!?」
あまりに震えが大きいし、苦しそうで、慌てて声をかけるがどうやら飛んでしまったようで、焦点の合わない瞳がどこかを見ている。
(や、やりすぎ、たっ!?)
ペチペチと軽く頬を叩くと、ドロンと蕩け切った意識が浮上したのか、目が焦点をようやく合わせられるようになって、渚をじっと見上げている。目は依然として欲に溺れているけれど。
「っぐ、カルマ、だいじょうぶ…じゃないよね、ごめん。いじめすぎた」
ずるんとコンドームに包まれたイチモツを引き抜くと、逃さないというようにきゅう、と甘く締め付けられて、理性が焼ききれそうになる。
危ない。非常に危ない。これはまずい。
カルマはもともと感度がそもそもよかったのを、さらに調教されているから、いっそかわいそうなくらい快感を拾ってしまうようだった。
渚は一般的だと自負してはいるものの、カルマよりよっぽど立派なモノを持ち合わせていたし、人並みに快感を我慢できていると思う。
だが、ひくんひくんと痙攣するカルマの孔は、渚には刺激が強すぎた。
それに加えていつも澄ましたカルマの顔がぐずぐずになっているのは、普通の人が見ても危うい色香を放っているくらいで、カルマに惚れ込む渚には些か、否、相当きつかった。
大切にすると言った手前引き抜くほかなかったが、本能の赴くままに穿ちたいと思ってしまうし、そもそも既にカルマを(性的に)泣かせてしまっている。
薄いゴムに覆われた状態だというのに、この有様だ。
生でするのとコンドームを装着するのでは随分違うと聞く。
ゴクリと喉が鳴った。正直喉から手が出るほどいいたい、まだやりたい、と。それも生でだ。
でも、それでは辛いのは全部カルマになってしまうから、ダメだ。
「…カルマ、ごめん。今続けたら絶対君、もっと泣くと思うから、ごめん、も、やめよ」
ムッとしたカルマがふと思いついたようにニヤ、と悪い顔をする。まずったと思った時にはもう遅く、カルマのペースに巻き込まれることは確実だ。これだから天才は困る。
「ゴム、擦れて痛いんだけど。…ね、なぎさぁ」
生で、したいんだろう?と顔に書いてある。それはそれはいい顔だ。
(嘘、つくなっ!!!!!)
散々よがり狂っていたカルマが痛みを感じていたとは到底思えない。
誘っているのだとしたら、どれだけ己を顧みないんだろうか。彼はわかっているはずだ。リスクだって、後始末の大変さだって。
ぐぐ、ぐ、と舌を噛み千切れるほど強く噛んでいないと引きちぎれる理性しかもう残ってなんかないんだから、やめてほしい。
「カルマ、も、」
「ね、ナマで、して…おれのナカに出してよ」
ぶち、ぶち、ぶちぃ
「後悔しても、知らないからっねっ」
ずるんゴムを脱ぎ捨てては、スリスリと孔に擦り付ける。薄い隔たりがないだけで、なんだこれは。熱すぎる。
ピク、ピクと期待に震えるそれが吸い付いてきて、少しずつ埋まっていく。
キッツイのに、ゆっくりと押し入ることができる孔に、少し驚く。本当に性器みたいだと。
(排泄器官とか、嘘でしょ…)
ずるずると抜こうとすると絡まりついて、うねるナカに引きずり込まれる。
ちょうど引き抜きかける時にいいところに当たるらしく、カルマは過ぎる快感にいっそ苦痛さを混じらせた声をあげる。
「か、るま、キッツイ、あっついし、なに、これっ」
渚も耐えきれない吐息を漏らし、眉をひそめてグッと射精感に耐えている。
「なぎ、ひゃぁ…思いっきり、やって、もっと、その顔見し、てってば」
「えっろい顔、しちゃって、んっ、そんなに、あは、おれ、のナカ、きもちぃ?あは、はあ、あ゛ッッ、あっは、ひ、ぃ…そ、だよ、理性なんて、いらな、いっよ」
かるまの自身から絶え間なく白濁が吐き出されているが、色が薄まってきているし、出ているというより漏らしているようだ。
(あ、アーーーー、これ、ムリ)
ナカのうねりがきつくて、きもちよくて、カルマがイキ続けているから止まりゃしないし、渚も限界が近い。
何度か打ち付けて、達する、と腰を引こうとしてみたものの、カルマに阻止される。
「っちょ、カルマ!で、る、からっ!」
「い、ッたじゃん!なかぁ、出して、ってぇ…!」
ずくん、と下半身に熱が集まって、瞬間頭が真っ白になった。
カルマの内壁に叩きつけた精液が染み込んでいくような錯覚がして、悔しいけれど、あのクズがカルマを抱き続けたという理由がわかった気がした。
(これは、麻薬だ…。)
猫みたいに飄々としたカルマを、泣かせて、服従したみたいな、妙な興奮がある。
あのカルマに、中出しなんて。
「あ、ぁあ、なぎひゃぁ…ナカ、い、ぱ、ぁ………」
フッとカルマの目から光が消えて、そのままピクリともしなくなってから、渚は自分のしでかしたこと(カルマのせいもかなりあるが)を激しく後悔することになる。
「え゛、カルマ!?」
無駄に冷や汗をかいた。




***
「カルマくん。よかったですネ」
「も、殺せんせーほんとだまって」
「ほんとうに愛されるって、幸せでしょう?」
「うるさいっ」
「ヌルフフフ。お似合いですネぇ」
「…………」
「…私にもたまには頼っていいんですよ。私はあなたたちの先生なんですから。そういう意味で愛しています。」
「う、うん…」
(ありがと、ふたりとも。)
たくさんの愛情を受けて、またカルマは成長していく。





***
「渚くんはさ、入れて欲しくはないのぉ?きもちいのに」
「え、ぜっっっっっったいいや。カルマ、君結構感じまくってる方みたいだよ。そもそも普通に扱きあった時も反応違っt「ちょちょちょちょちょちょっと!!!やめて!現実を突きつけるのヤメテ!うわ、なにそれ、ていうか、なんでそんなでっかいの!?おかしいでしょ!!!?不公平じゃ、ンンン!!!あ



<<< ◇ back ◇ >>>
<<< ホームに戻る

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -