暗殺 #救われた手、落とされた手



赤羽業は、人との関わりが上手いほうではない。
出来すぎた頭と、人を馬鹿にする態度。いくら拳を振るう相手を選んでいるとはいえ、そんなカルマと率先して行動を共にするような人間は、そうそういなかった。
そんな、浮いていたカルマを「救い上げてくれた」のが、「どん底に突き落とした」のが、あの男だ。
目の前で教師の面を剥がしたあの男を、カルマは一目見れば異常だとわかるくらいには依存していた。
成績がすべての椚ヶ丘中学校で、あの小さな箱庭で、カルマの中身まで見てくれる唯一…と思い込んでいた存在。
神に等しいそんな先生になら、何をされてもよかった。
家族だってなかなか家に帰ってこない、どこまでも孤独なカルマにとって、神はあまりにも偉大だった。
求められる行為のおかしさには気づいていたのに、一度抱かれることを覚えれば、抵抗する理由もなくなってしまった。
これは、ご褒美なんだ、と。

聞くに堪えないような音を立てながら先生のそれがカルマを侵していく。
体の内側にねじ込まれていく感覚は、どうやっても慣れることはないけれど、そんなことよりも。とにかく、流されてはいけない。そう思うのに、如何にもこうにも後ろから攻められるのは苦手だった。
過ぎる快感の波についていけないことと、顔が見えないままに揺さぶられることが、怖かった。

ぱちゅ、ぷちゅん、ぐじゅ。
「ヒィ、んっ…せん、せッ、やっ」
「先生」は後ろから突くのがとにかく好きだった。
あの、いたずらっぽい笑み、不適とも取れるような余裕の笑みがぐずぐずに蕩けるところが見られないのは惜しかったが、バチンと尻を叩いたり、力任せにガツガツ穿ったり、とにかく好き勝手に出来るところが気に入っていたようだった、
カルマもカルマで、普段はサディストのような態度を取っているくせに、相当なマゾヒズムを持っていた、のか、開発されたのかは定かでないが、しっかりとその行為を楽しんでしまっていた、
きゅう、と締まる結合部を指でさらに広げてみれば、恥ずかしくてたまらなくなったカルマが『先生』の方に顔を向け、「や、め…」などといった弱々しい抵抗をしてくる。
と思えば、耐えられないとでも言うように机に顔を突っ伏して隠してしまう。
燻られた熱が、チリチリと皮膚を焼くような錯覚を覚える。
バシンと白い肌を叩けば、またいい声で啼いた。加虐心を煽られるのも無理はないというものだろう。
現在のカルマがあそこまでSであるように見せているのは、これも影響しているのかもしれなかった。
「ホラ、赤羽。いい子だからちゃんと顔見せてイくんだぞ」
そう言いながら穿つスピードは落とさず、むしろ先ほどよりも強く、えぐるようにぐりぐりと媚肉をかき回す『先生』。
そこはすでに『先生』によって開発され、性器になり果ててしまっていた。
腸液と『先生』の先走りが混じって、突き上げるたびに卑猥な音を立てながら、進路希望室の床を汚していく。
「せんっ、せ…!だめ、顔、見な、っひ、…ッア!ぃで…!」
なけなしのプライドが理性を捨てることを拒んで、掴まれた髪がぶちぶちと音を立てるくらいにかぶりを振って『先生』の名前を呼んだ。
『先生』は叱るように尻を叩く。
(せんせい、怒って、る…受け入れ、ないと)
びくびく収縮する穴にたまらず教師の皮を被った男が低いうめき声をあげた。
非人道的な行為をしたと、本当に思う。馬鹿なことを考えていた、とも。
何度もなんども注がれた死にゆく子種を、愛情と勘違いして。
その熱を思い出しては吐きそうになるくらいなのに、当時の自分ときたら、思い出しては発情する始末だった。
全て間違いだと教わったときにはもう、エンドのE組。
でもいいんだ。
死んじゃった先生なんか、もうどうでも。
誰にも暴かれてはならない、踏み入れてはいけないものを抱えながら、俺は今日もせんせーを殺す。



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