美L! #ご機嫌取り



「わわ、センパイ似合ってますよ
物珍しそうな目がキラキラしてる。うっ、純粋そう。
ほんのちょっと視力が落ちた。放っておこうとしていたら、熱史が「ちゃんと眼鏡かけてないともっと目が悪くなる!」なんて怖いことを言うから、仕方なく眼鏡を作りに行こうと思った。
その場に居合わせたリュウが「俺が選んであげますよ!」なんて言って聞かないし一緒に選んでもらうことにした。めんどくさいし。
それはいいんだけど。
「う、どれも捨て難いな
女の買い物かよ、って思うくらい時間をかけながら、「あれがいいかな」「これもいいな」「いやあっちが」なんて店中の眼鏡をかけさせながらうんうん唸って、かれこれ1時間。いい加減にしろ。
「も、なんでもいいだろ。どうせ授業中にしかかけねーし、安くてかけやすいやつでいい。」
「…そっすか」
結局、リュウが嬉々として選んでいたどのフレームでもなく、適当にフチが細くて安いやつを買った。
「では、50分ほどかかりますので、またいらしてください」
「ほら、行くぞ」
ちょっとリュウの機嫌が悪くなってたから、仕方なく手を引いて店から出た。
「うわ、わわ!ちょ、由布院せんぱ、」
女性店員のギラついた視線が痛かった。
しばらく手をつないだまま歩いたけれど、振り解かれて、「何やってんすか!」と怒鳴られた。
「いいだろ、別に」
っ!」
頬を少し赤らめて、軽く一発腹パンしやがったリュウは、へたへたとしゃがみこんだ。
「…この後また行くんすよ?」
「でも、今後会うことないからいいだろ」
「あんたのそーいうとこ、ほんとある意味そんけーする。」
「どーも。」
「 リュウ、あの喫茶店でケーキおごってやるから機嫌直せよ」
「…佐藤錦のタルト」
「仰せのままに」


完成した眼鏡を調整のためにかけると、リュウの目がまた煌めいた。
「わ!由布院センパイ、似合う!」
…必死にご機嫌取りしたのが馬鹿らしくなった。



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