美L! #理性攻防戦



「うわ、なにお前どうしたのそれ」
「ん?なにがっすか?」
思わず二度見してしまったけれど、しかたのないことだと思う。
リュウが眼鏡をかけているのなんて、これまで付き合ってきて、一度も見たことがなかったから。
熱史のかけてるような、いかにも目が悪いです、っていうのじゃなくて、フチが太くてまん丸い、洒落た眼鏡をかけている。
「あこれ?ダテっすよ、かわいーでしょ」
正直、まあ、普通に似合ってるけど。…似合ってるけど。
あの綺麗な目がレンズ越しにこちらを見ている。誰からもらったかもわからない眼鏡をかけて。
「…別に」
独占欲、なんだろうか。
自分でもびっくりするくらい不機嫌さを含んだ声が出てしまって。
小さく「は?」と言って、くりくりした目をぱちくりさせていたリュウは、やがてくっくと笑い出した。くそ。
リュウの方が優位に立つのが、俺はどうしても気にくわないので(なんでだろうか)俺の機嫌はさらに下降した。
面倒になって不機嫌さを隠しもせず黙り込んでいたら、リュウがため息を吐いて、「あんた、ほんとめんどくさい!」なんてまたムカつくことを言ってくる。
そっと眼鏡を外したリュウが抱きついてくる。ぎゅうぎゅう痛いくらいに。
「っなんだよ」
「拗ねないでくださいよセンパイ」
子供ですか、なんて、ユモトに次いで子供っぽいお前に言われたくないけど、確かにこれじゃあ、子供じみた嫉妬だ。
「も、かわいいなあ」
ふっと目を細めて笑うリュウは、驚くほど大人びて見えた。
「あー、ソウデスカ。」
「なんそれ!うはは」
「もーお前黙れ」
「はは、はっ、かわいー」
「黙れって」
「ん」
うるさい唇は塞いでしまえ。



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