美L! #どうしてこうなった



私、守銭奴こと鳴子硫黄はいま、この人生においておそらく最大の決断を迫られていた。
何かというと、目の前の男、蔵王立に告白しようかしまいか、という事だ。
「私実はゲイでして。」
なんて告白をしたらきっと「はぁ?きめーし」とかなんとか言われて絶縁されるに決まっているので、私にとって損失しかないわけなのですが…何を隠そうもう限界でして。
そもそもリュウのせいで(?)ゲイになったので責任を取ってもらわないと、なんていう自分勝手な考えもあったりする。
何が限界かというと、性欲、でしょうか?
んん?なんというか、そう一括りにされると腹が立ちますね…そんな即物的な感情ではないのですよ?
リュウの側にいるだけでドキドキしたりだとか、それはもう心臓が破裂するんじゃないかと思いますし、着替えなんかは直視できず挙動不審になる始末だったりとかで日常生活に支障をきたしすぎています。全く…。
一歩間違えたら理性がパーンして襲いかかりますね。…前言撤回、私は即物的な感情を抱いているようです。
告白をするにしても、リュウはノンケな筈なのでこんな事を知られたら絶縁されるかもしれない、なんていう恐怖もある。


「知ってっけど」
結果、どうしてこうなった…。
わーっとなって頭がパーンしてついにゲイだと打ち明けた私はリュウを直視できないままそんな死刑宣告を受けた。
心臓が止まった。確かにいま、私の心臓は止まった。ぐらり、と視界が歪んで、意識が、


「いお?おーい、いーおー?」
数瞬、意識を手放してしまったものの、なんとか戻ってこれて、顔を上げるとリュウの真っ直ぐな瞳とかち合った。
見つめる瞳はいつものリュウのもので、私はとりあえず幻滅されたり、引いた様子がないことに安堵した。
ですが、一体
「い、つから」
するりと考えていたことがなんの間もなく音となっていた。
カラカラに乾ききった喉から振り絞ったような声は、情けなく震えて掠れて酷いものだった。
「あー…歯ブラシのときから?」
「…そうですか」
私がリュウへの想いを自覚した時からリュウは変化に気付いていたようだった。
リュウ、流石です…。
「んまあ、俺はイオが何であろーが、付き合うぜ」
私の気持ちなど露知らず、リュウは残酷なことを言いながら笑う。
『じゃあ、私と付き合ってください』とは、とてもではないが言えなかった。ので、
「ありがとうございます」と小さく返事をして諦めの笑みを浮かべてしまった。

要約:アウトオブ眼中

「誰か好きなやつとかいんの?なぁー!おーしーえーろーよー!」
押し倒してやりたい。


おしまい。



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